一人になってしまった俺は急に心細くなったが必死に燃え上がる炎を避け、いつ頭上に落ちてくるかもしれない爆弾の恐怖に怯えながらも幾つかの路地を通り抜け、やがて再び沢山の人が走っている広い通りに出た。


しかしその先は敵の戦闘機の通り道になっている広い国道の十字路だった。辺りは照明弾で真昼のように明るく次々と間をおかず、地上すれすれの低空飛行で襲いかかってくる戦闘機から十字路を走り抜けようとする人々を機銃掃射で狙い撃ちする敵の姿がはっきりとみえた。そしてあられのように降る機銃掃射の弾に逃げ惑う人々がバラバラと倒れていった。


俺は武器をもっていた。しかし攻撃力には圧倒的な差がありすぎる。俺は逃げる事を優先し、十字路の一角の塀の際にうずくまり、わずかな塀の影の暗がりに敵機から身を隠して身動きもできず震えていた。


そんなとき、道の向こうから走ってくる人に混じって南雲の姿が見えた。俺は少しほっとした。だがこのまま進めば南雲はあの銃撃によって殺されてしまうだろう。そう思い「南雲!」と呼ぶ。すると1回で気づいたようで、少し辺りを見渡し、俺に気づいた南雲は俺の方に走ってきた。


無事で、よかった。



が、

「ヒロ……ッ…アッ…!」
突然の事だった。俺の名前を呼ぶ途中で、南雲が俺の目の前で撃たれ、ばったりと倒れた。そしてそれきり、動かなくなった。あまりにも突然の出来事で俺は少しの間その場から動けなくなった。目の前に転がる南雲の死体。しかし俺はバラバラ降りかかる機銃掃射の弾に、腕一本差し伸べることができなかった。



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