自分で言うのはなんだけど、俺はキス魔だ。彼女が隣にいるだけでキスしたくなるし、彼女に告白した時だって、告白よりもまず先にキスをした程だ。彼女はそんな俺に呆れてはいるがキスを嫌がることはなかったし、彼女の、俺がキスをすれば何度もキスをしたことがあるのにまるで初めてキスしたときのように顔を真っ赤にして照れる所はたまらなく可愛い(だからやめられない)。




今日はサッカーの練習が長引いたため、帰るのが遅くなってしまった。そんな俺を心配してか、彼女は俺の家の前でこんな時間まで待っていてくれたみたいだ。家のドアの前で小さく体育座りしながら眠っている彼女になんて無防備なんだと少し言いたくもなったがなによりもそんな彼女が愛しくて、優しく起こした。

「今帰りましたよ。」

そう言って微笑みかけると彼女は目を擦りながら、最初は眠そうにしていたものの、俺の存在に気付いてか、いきなりハッと目を覚ました。あたふたしている彼女を見て、俺は小さくキスをする。するとやっぱり彼女は顔を真っ赤にしてうつむいた。

とりあえず、このままでは寒いので家の中に彼女を促す。すると玄関の所で彼女が俺のワイシャツの裾を小さく引っ張ったのが分かった。振り向けば、爪先に力を込めて、できるだけ背伸びをし、彼女が俺のワイシャツを掴む。そして




彼女はいつもの仕返しの意味も込めて俺に自分からキスをした。そしてぎこちない感じで舌を動かす。
彼女は自分からキスしてきたくせにこれまでにないくらい顔を真っ赤にしながら一生懸命キスをする。そしてそっと唇を話せばすぐ背中をむけてその場にしゃがみこんだ。そして小さくおかえりと言ってボソボソ呟く。

「お、かえ、り…って言ってなかった、から、」

そんなこと今更気にしなくてもいいのに。とは思ったが、彼女は自分からキスしたことをこの場の話題にしたくないようで、尚もボソボソ何か呟いている。

「キス、初めてあなたからしましたよね。とてもびっくりしましたよ。」

うずくまっている彼女が可愛くておちょくってみれば、バッと勢いよく立ち上がる。

「そ、それは…いつもの…仕返し、だもん。」

語尾を小さくさせてまたうずくまる。ちょっと意地悪しすぎたかな、と思い、俺は荷物を玄関に置き、彼女を立ち上がらせて「散歩にでも行きませんか?」と誘う。彼女はそれが俺なりのフォローだとわかったみたいでちょっとだけくやしそうに顔を歪めたあと小さくうなずいた。



彼女に手を差しのべるとおずおずと手を握り返す。しばらくして、俺の肩ぐらいまでしか背がない彼女の表情をはっきりと見ることは出来なかったが、彼女がいつも通りの感じに戻っているのが分かった。彼女をフォローするために自分から散歩に誘ったのに、なんだか悔しくなって急に立ち止まる。彼女が不思議そうな顔をして俺を見る。俺は片手で彼女の腰に腕をまわし、反対の手で彼女の顎をとらえた。そして










純情エチュード
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結局自分からキス
するフィリップ

一人称わからん…


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