用務員さんと私-活動- 美化委員になってから、 私は火曜・金曜が楽しみになっていた。 美化委員の活動があるのだ。 本来なら、どちらかの日に出ればいいのに 浮かれ切った私は 「両方出てもいいですか!?」 「あ…あぁ、人手は多い方が助かるが…」 と、半ば強引に両日担当出来ることになった。 校内掃除やゴミ回収などに心躍る生徒がどれだけいるだろう。 大半は部活動や勉学のため、欠席する生徒が多い中 ここ二ヶ月ほど、委員の活動は「皆勤賞」 「珠美さんは、部活には入らないんですか?」 この学院は様々な部活があるが故に、部活勧誘も活発だった。 しかし、それをはねのけ、帰宅部を貫く私が不思議なようで、 同じクラスの文姫さんが訪ねてきた。 「あ、はい。私は用事があって…」 大事な大事な美化委員の用事が、ね… 今日は金曜日・美化の日 放課後。 私は用務員室に急いだ。 廊下を走っていたら流石に惇先生に叱られたが、スルー。 「失礼しまーす!」 「いつも早いな、珠美」 唯一の和室となっている部屋で、胡座をかいてお茶をすすってた賈クさんは 少し呆れた風にそう言った。 まだ他の担当の子は来ていないようだ。 「チャイム鳴ったじゃないですか」 「それからまだ一分も経ってないだろうが」 確かにそうだ。若干フライング気味に教室を飛び出したんだった。 「今日は大変だぞ〜…」 「何がです?」 「他の奴らは全員欠席」 「えっ!?」 な、なんてこと…それって二人きりってことじゃないですか? 「何で笑顔なのお前さん」 すぐ顔に出てしまうのが直らない私にツッコミを入れつつ、 賈クさんは掃除道具やらをロッカーから取り出して着々と掃除準備を始めていた。 「ほら、これ持って。今日は校舎東側」 「了解ですっ」 意気揚々と今日の現場に向かう でも、心なしか生徒の数が少ないような… いつもは部活動もあり、生徒で賑わっててもおかしくないのに… 「なんだか、人少ないですね」 思ったまま、疑問を口に出してみたが、 賈クさんは平然と窓を拭いている。 「そりゃそうだろ。期末前だし」 「え…」 「……まさか珠美、忘れてたのか?」 ………。 「あの〜…賈クさん、私もやっぱり…」 「あっははあ、逃がさんよ?」 うわあ賈クさん笑顔が怖い… そして、いつの間にか制服の首根っこの部分を掴まれている。 逃げようがない。 結局、私は暗くなるまで居残って、校舎をピッカピカに綺麗にした後、 家で休日を返上して猛勉強する羽目となったのだった… |