「あら、いややわウチったら。可愛くない事してもーた」
「そうやでー、女のコには笑顔が似合うんやから」
「や〜ん、も〜蔵リンったらぁ」
「小春ぅ……」
緑バンダナがとても切ない表情を浮かべる。
不憫な奴だ。
この異様ともいえる光景に自分自身も呑まれかけていると、視線の端に跡部が走ってこっちに来るのが見えた。
「銀時!」
名前を呼ばれたから返事をしようとしたがその前に頭を鷲掴みされる。
「いっ、いだい゙っ」
「あれ程言ったのに……」
「不可抗力だ!つか別にこいつら不良じゃねーし考えたらスポーツマンが不良な訳ねーじゃん俺のバカ!」
「だからそういう意味じゃねぇ!」
ああもう、と跡部は自分の頭をぐしゃぐしゃに掻き回した。
白石と跡部が戻ってきたという事は、顧問と部長の……なんだっけ。なんかが終わったんだろう。
きっと疲れてるんだな。
跡部と話していると、いきなり白石が背後に現れた。
この前もそうだが俺が気配を察知できない奴らばっかりなんだが。仮にも白い夜叉だぞ。俺が現れたら負けはないとか言われてたんだぞ。
「銀時、昼ぶりやな」
「お、おお、白石」
「跡部ってだいぶ過保護なんやなぁ。イメージと違うわ」
白石が言う。
まあ俺もそう思う事はあるが、俺は身元不明だし、跡部自身責任感が強い奴だから仕方ない気もする。
「うーん……そうか?」
「ま、ええわ」
自分で言ったのに興味が無かったのか自ら話を切り、白石は目線を俺に移した。
「銀時って跡部と仲ええよなぁ。幼なじみとか?」
「いや、一緒に住んでるけど」
「…跡部、お前……」
「……訳あって預ってるだけだ」
白石にジト目で見られ、跡部が渋々口を開く。
白石がそれ以上詮索することはなく、へぇ、と短く声を発しただけだった。
「ね〜ぇ?蔵リンも来たことやし、銀チャンと自己紹介タイムにせぇへん?」
さっきまでバンダナとイチャついていたオカマが唐突に提案したことにより、四天宝寺との自己紹介が始まった。
ここから、跡部の更なる苦悩が始まったのだという(跡部後日談)。