「遅かったですね」
『ひっでー。お前だって待たせた癖に』
「あはは、すみません。でも銀絡みの件は俺にとって最優先事項なんですよ」
『だろうなぁ……まぁ俺もだけど』
「これが書類ですか?」
『そうだ。それ渡しちまえば後は特に用はないぜ』
「そうですか。……あの」
『ん?』
「銀には、会いましたか?」
『あぁ。俺に会う前の銀だったし、ちょっと不味いかとは思ったが、会いたくてつい。
クローム髑髏いるだろ?あいつは賢い事に、銀を見て直ぐ逃げ出したぜ』
「過去に支障が出ないように……クロームも、会いたがってたのに」
『どっちにしろ記憶消すんだし、一言でも話せば良かったのにな』
「自分と話した記憶が消される事、それ自体が嫌なんじゃないですか?」
『成る程、真面目そうだもんな』
『ところで、銀は空から降ってきたんだよな』
「はい。多分、この世界に沢田銀時がいないからだと思うんですけど……」
『10年バズーカの故障ねぇ……』
「そのせいで、正規の未来ではないここに来てしまったんですから、五歳児に持たせていいようなものじゃないですよ」
『この先、どんなに想っても銀時は、』
「ここにはこないですよ」
『そうか……』
「俺達は本来の俺達と違う歪んだ存在ですから」
『…………』
「もう行かないと。銀を帰さなきゃ」
『俺は戻るよ。やることもあるし』
「そうですか……銀には」
『いいよ、何も言わないで』
「わかりました。じゃあ、失礼します」
扉が閉まった。