…………残念でした。前ページの最後で、衝撃を食い止める第三者が現れて「大丈夫かい銀時君」「キャーステキー」展開になると思ったそこのお前。
残念でした。

フツーに衝撃食らったよ。爆風の方だったよ死ね獄寺。
奥の壁まで吹き飛ばされて、直撃。立てない。

うん……第三者は現れたよ。でもな、タイミングが悪かった。
だって来たの、食らった後だもん。

全身に痛みを感じながら、その人物を睨む。そいつは状況を把握しきれずにポカンとしていた。

「おいテメー」

「あ…?あ、おう」

「空気読め」

言うと同時に、再びバカ二人が衝突。
呆け顔は爆風の向こうへ。

あーあ。

俺は諦めたように天井を見つめる。
いつ終わんだろーなぁ。



「お前、銀か?」

「なぁぁぁ!?」

突然、目の前にぬっと顔が現れ、大袈裟に体を跳ねさせてしまった。

まじまじと顔を見つめる。
さっきの空気読めない男だった。しかし、金髪のホストのような顔に見覚えは無い。

「えーと……」

「多分、俺が言っても止まんねーからな。銀が言った方がいいぞ」

「あ?厭だよ、攻撃されたらどうすんだ」

「大丈夫だって」

金髪がくすりと笑う。
優雅な動作で頬へ手を添えられたかと思えば、顔を引き寄せられ耳打ちされた。
指がエロい動きしてるよちくしょう、やる必要ないだろイタリア人このやろー。


俺はのろのろと立ち上がると、未だ暴れ回る二人に言った。

「お前ら、止めねーと二度と口利かねぇからな!」

こんなんで止まるのか、と懸念していたが、どうやらそんな心配はなく。
思いの外大声が良く通ったらしく、恭弥と獄寺はぴたりと動きを止めた。

恭弥はこっちへ顔を向けると、形の良い眉を中央へ寄せる。

「跳ね馬……」

俺に向けた訳ではなかったらしい不快な表情は、俺の横の人物へと向けられていた。

「よ、恭弥」

跳ね馬と呼ばれた男は、ひらひらと手を振った。




とりあえず危険なのでキッチンを出て手頃な部屋へ。四人、円になって座る。

俺が面識ないという事を伝えると、男は大袈裟な動きで肩を落とした。

「そりゃないぜ。あんなに深い仲だったのに……」

「テメェ、銀時に嘘吹き込んでんじゃねぇぞ!」

俺の正面に座る獄寺が噛みついた。
並びを決めるのに何故か喧嘩になったので、四人がジャンケン。獄寺が負けた事で自動的にこうなった。
どうでもいいから早く決めて欲しかったのだが。

「はいはい。――改めまして、銀時。キャバッローネファミリーのボス、ディーノだ。よろしくな」

「ボス…?」

「一応、ツナの兄弟子なんだぜ?」

へぇ。すごい人だったんだ。
驚きが顔に出ていたのか、恭弥に頭を叩かれる。

「ボスっていっても、部下がいないと何もできない能無しだろ」

「仮にも師匠に能無し呼ばわりかよ」

「僕がいつあなたの弟子になった」

バチバチ、と火花が飛び散る。

大人しく獄寺の隣に行けば良かった。この二人を隣にすれば勝手にやっててくれただろうに。

獄寺へ目配せすると、ため息を吐かれた。

「お前ら、話し進まないだろ!」

「五月蝿いよ。関係ないんだから引っ込んでてよ」

「ぁ゙あ゙!?ふざけ――」

「――また喧嘩すんなら、山本のとこ行くけど」

居場所知らないけど。


途端に三人黙り込む。ディーノはニヤニヤしてる。なんだこいつ。

「お前、ディーノは何か用事あるんじゃねーの?」

「あ、そうだった」

いかにも今思い出しましたという表情で手をポンと打つディーノ。

「ツナに用があったんだが、出掛けてるしよ。どうせ銀絡みだろうけど」

そうだったのか。

「折角銀がいるのに、銀の安全を優先させる為にろくに会話してないんだろ。損な性格だよなぁ」

「…………あー」


そういえば忘れていたが、そろそろ帰らねばあっちのツナ達が心配するだろう。
もう、どれくらい時間が経っただろうか。

「もうすぐ十代目はお帰りになる筈だ」

獄寺が自信をもって言う。

「そうなのか?それは良かった、一応急ぎなんでな」

確かに、ボス自ら来るなんて大事な用なんだろう。
ディーノはよっこらせと親父のように腰を上げると、ぐっと伸びをした。

「じゃあ、名残惜しいが行くか」

部下に書類持たせたまま置いてきたんだよな。
ボスとしていいのかと疑問に思うが、その言葉とは裏腹にのんびりとした動作で歩いていった。


「じゃあ、俺達ももうそろそろ戻るか」

どうせ危険因子はここに集まってる訳だし。
ツナの部屋に案内してくれと立ち上がりつつ言うと、獄寺はともかく恭弥も思いの外すんなりと承諾してくれた。

さっきまでの煩さが嘘のように、二人は無言で俺の両脇に移動した。


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -