ガキン、と鋭い音がして、あぁ、負けたのだと他人事の様に思った。
殺伐とした空気の似合わない晴天に折られた刀。屋根の上でないのを除けば、いつかの胡散臭い男と一閃交えた時とまるっきり同じだった。

今目の前にいるのは胡散臭いなんて生温い言葉で表現するのが不相応な、狂気を潜ませた目をする男だったが。

土方を見る冷ややかな視線は包帯で隠された左眸でまで睨め付けられている様な錯覚を起こす。

無表情で、見る者によっては呆然と立つ土方へ高杉は嘲笑を送った。

「ざまぁねぇなァ、真選組の副長サンよ」

感情の無い顔の中で唯一口の端を僅かに上げるだけの笑い。面白がる様な言葉にはそれでも、抑えようのない憎しみが押し込められ、既に反撃の術を持たない土方の躯に魂に、恐れの感情を否応無く植え付けさせた。
土方のその姿を見て更に笑みを深める。


奴ぁテメェ等ごときが扱える代物じゃねぇんだよ。

その言葉に土方が顔を上げた時には高杉の姿は消えていた。


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