日常編 | ナノ
3

漏れなく粛清を終えて一息ついていた所に電話が来た。

「――なんで学校来てないの」

開口一番、苛立った調子でそう問う声に苦笑する。そういえば通学中だった。
手短に済ませ、ツナ達へ向き直る。

「今からここに恭弥が来るってよ」

「雲雀さんが!?」

「そ。風紀の仕事でな。……俺はそれに付き合わなきゃいけねぇから、お前ら先に学校行っててくれ」

「うん、分かった」

ツナさえ言いくるめれば後は簡単。一番面倒な獄寺までがあっさりと全員帰っていった。














「なんですぐ場所分かったんだよ」

「この間言ったでしょ?日本のヤクザもでしゃばってるって。
今日、潰そうとしたんだけど遅かったみたいだね」

どこにいるのかと聞かれ正直にヤクザのいる部屋だと言えば、直ぐに恭弥は飛んできた。アバウトだったのに何故伝わったのか。
ここを、ヤクザを咬み殺す的な意味で日頃の鬱憤を晴らす場所にしようとしていたらしく、目に見えてイライラしている。
先にツナ達に帰って貰って正解だっただろう。

「それにしても、あの草食動物がこれをやったの?」

半壊の建物を目線で指して問う恭弥。建物へのダメージは、獄寺のダイナマイトもあるが、殆どがツナの拳が原因である。

「まあな。ディーノ――知り合いの強い人もいたけど」

「……そうなの?」

「ああ。恭弥も気に入るかもな」

「へぇ……」

殺りあってみたいと呟く恭弥はいつもの五割増しで恐ろしい。強い人物と聞くといつもそうなるため慣れている俺には何ともないが。

それにしても。ヤクザを縛り上げる風紀委員達を眺めながら内心で呟く。
ヤクザを取り締まるとか、恭弥の権力は一体どうなっているのか。
聞けば教えてくれそうだが、何やら恐ろしいとも感じるので考えるに留めておくことにした。






**




「まーた雲雀かよ!」

獄寺が不機嫌に吐き捨てる。なんだかんだ一緒にいることも多い上、綱吉の兄という特別な立場の銀時が、雲雀の言い付けを優先させたのが気にくわないのだろう。
分かりやすいその態度にディーノはふっと笑ってから、獄寺を苛立たせる張本人に思いを馳せた。

「雲雀……ツナのファミリーだっけ?」

「そうだぞ」

「うお!?っと、リボーンかよ」

突如現れたリボーンに後ずさる。この神出鬼没さにはいつまでたっても慣れないものだ。

「あいつはファミリー最強だ。だがまだ未完成な部分もあるからな、ディーノ、近々お前に任せるかもしれねえ」

「わかったよ……ったく、相変わらず人使いが荒いなあ」

だが、自身も気になっているのだ。
それまでにもっと強くならなきゃなぁと一人ごちてから、前方を歩く綱吉達の元へ向かった。

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