日常編 | ナノ
1

とりあえず熱は引いたため学校に行くことになり、朝食後いつも通り制服に着替える。ツナも、母親さえ今日は休んだ方がいいと提案してきたのに、リボーンの一言で俺は休むことができなかったのである。正直リボーンの言う通り全く平気なのだが、前日ぶっ倒れたのだから大事をとって休ませてくれてもいいんじゃないだろうか。
ツナが心配してくれているのが救いだ。持つべきは心清い弟だよほんと。ディーノに関しては恥ずかしいとか全て昨日の内に吹っ切ったので割愛する。
何で日傘を差すんだと聞かれ理由を話すと知らない訳ではないだろうに衝撃を受けたように固まったので、何かしら言われるのは面倒だと速やかに日傘のテープを外し、靴を履き、ツナがドアノブに手を掛けるのを確認して、キッチンにいるであろう母親に声を掛ける。

「いってきまー……」

ビクッ

ツナの肩が俺に当たる。
なんだ、何があった。

「ツナ?」


ツナの顔色を覗こうとして――後悔した。

昨日の、黒ずくめの男達が玄関前をうろうろしているじゃないか。
こっちは某見た目子供で頭脳が大人な探偵じゃない……こんな奴らを見ても血は騒がないから止めてくれないものか。
げんなりとその集団を見つめていると、髭をたくわえている、ダンディなオッサンが話し掛けてきた。

「ボンジョルノ、ボンゴレ十代目、銀時君」

この中で一番偉いのだろうか。つかどっかで見なかったか。
ああ、昨日のダンディーツナの顔か。

これといった敵意を感じなかった――寧ろフレンドリーだった為、軽く会釈を返す。

「あー、どーも」

「あ……どうも……ディーノさんでしたら、」

「なんだおまえら」

ツナが居場所を指す前にディーノが顔を出す。
ショックからは立ち直ったらしい。うまい具合に気が逸れて良かった。

「迎えなんて頼んでねーぞ」

「誰も迎えになんて来てねーよ」

愉快そうなディーノにニヤリと笑うオッサン。

「散歩してぶらついてたらここに来ただけだ」

「……駅前のホテルからかよ」

なんとハードボイルドな会話。なんかいいな。
ツナにそう言うと曖昧に笑い返された。







「おはよーございます!十代目!……と銀時」

大型井戸端会議と化した沢田家の門前に快活明朗な声。
相変わらずツナ以外はおまけという認識らしい。

「獄寺くん!」

「よー」

「早起きしたのでブラブラしてたらここについちゃいました!」

満面の笑みで飛び出した言葉はさっき聞いたようなもの。ふとツナを見ると、同じ事を思ったのか顔が引き吊っている。
ニコニコの獄寺は一通りツナを眺め回した(語弊)後、黒集団をキッと睨んだ。

「それより何なんスかこの連中は」

睨まれているにも関わらず、ディーノは臆すでもなく笑顔を見せた。

「よぉ、悪童スモーキン・ボム。会うのは初めてだな」

「! そのタトゥー…お前、跳ね馬のディーノ…!」

獄寺が目を見開く。
知り合い……って訳でもなさそうだが。ツナと二人、首を傾げた。やはりマフィアにはマフィアの繋がりがあるんだろう。獄寺の年齢を鑑みると、明らかに大人の事情なマフィア情報を仕入れられるのは不自然な気がする。やはり一族でマフィアをやっていると俺のような一般人とは価値観が違うんだろうか。


「ツナと銀時、それに獄寺じゃねーか」

不意に後ろから声がする。
振り向くとそこには笑顔の山本がいた。流石山本、鶴の一声で不穏な空気を一変させた。

「何やってんだ?おめーら。遅刻するぞ」

三人の背中を押しつつ、山本はディーノに会釈。人柄の良さを伺わせる。だって山本だもの。

「さっさと行こーぜ」

「なれなれしくすんな!」

相変わらずなつかない獄寺を気にせず歩き出す山本に、俺は日傘を開き直ぐ様付いていく。
俺が動いたのを見るとツナは小走りで追いかける。

すると獄寺はまもなくツナに付随するのである。
単純な奴め。

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