日常編 | ナノ
3

借金、只今三十万円也。

何故かキャラ崩壊して黒くなったツナの命により、獄寺はランボの監視という名のお仕置き中。
だらだらと汗を流しながらも「いざというときにお怒りになる姿も素敵です!」と懲りずに呟いている。
しかし、そんな獄寺の周りに暗雲が立ち込めていた。
何だろうかとキョロキョロ見回すと、直ぐ正体に気付く事ができた。

「弟の責任は私がとるわ」

獄寺の天敵であるビアンキの登場に獄寺は顔を真っ青にさせ、ぐるぐるという腹の音を響かせながら、借金を増やすだけ増やして逃げ帰った。

邪魔なのがいなくなったのは良いが、責任ツナに押し付けてどうするよ。

ビアンキはというと俺達を表に追い出し、リボーンへの愛で変わったという腕を見せるべく寿司を握っている。

「逆に借金増えるんじゃねーの」

なにともなく口に出せば、ツナは頷いた。諦め半分の表情である。悉くツナへ心労を掛ける兄弟だ。

「いいのか?僅かに残ったネタまで駄目にされるぞ」

「少しの可能性に賭けよう……というか銀、何食べてんの」

「パフェだけど」

「いや、そうじゃなくてなんで食べてるの」

「寿司握ったらなんやかんやで」

「それが寿司!?」

ビアンキよりはいいんじゃね?
ツナは肯定したが、直ぐに言い直した。

「食べちゃ意味ないよ!」

まあそうだが。

話している内に何やら厨房の方で妙な音がするようになった。
ぼんとか、どかんとか。

そのせいか、皆一様に沈黙する。
緊張の中、ゆっくりした動作でビアンキが厨房から出てきた。手にあるのは妙な匂いもしない、色もおかしくない一般的な見た目の寿司。

「どうぞ」

「あれ?いつもの変な煙出てない!!」

ツナが嬉しそうに言う。
確かに見た目何の問題も無さそうだが。今までの経験的に危ない、気がする。
だから、次々に口に運んでいくツナ達をハラハラと見ていた。
が。

「ほら、銀も食べなさい」

無言の圧力。反射的に俺は悪魔の料理をひっつかみ口に捩じ込んだ。
うまい、うまいよ。でも泣きたい。
俺と裏腹に満足そうな親父は笑顔を見せた。

「よし、お嬢ちゃんがこいつで百人前拵えてくれるなら借金チャラにするぞ」

「えぇっ、本当ですか!?」

ツナが目を剥く。その後山本に満面の笑みを向けた。
その隣にお兄ちゃんが立ってるのに、ツナは山本の方がいいんだな。

そうこうしている内に、リボーンの後押しもあり再びビアンキIN厨房の図が出来上がっていた。









「お疲れさん!百人前完成だ」

ビアンキの前にある寿司は美しく艶めいている。一見。

「これで借金はチャラだぁ!」

寿司を目にして喜ぶツナの隣で、やはりというかごろごろと鳴る腹に不安しか感じない。消化しているだけだと思いたい。

「お……ぅぼげぇ!」

「え、銀?――ふがぁ!!」

嫌な予感は当たるもので、いきなり腹が痛みだした。
訝し気に俺に声を掛けたツナも、次の瞬間には腹を抱えだす。

「ツナ!銀時!」

「うお!腹がっ」

寿司を食った四人が全員、腹を押さえ苦しみ出した所で、リボーンがふと思いついたように言った。

「ビアンキ、お前知らぬ間に時間差で効く新技を開発しちまったみてーだな。名付けて"ポイズンクッキング三時間殺し"だ」

「まあ私ったら」

「な、なんじゃそりゃぁぁぁ!!」

どうするのこの状況、と思ったもののまあリボーンがちょちょいとどうにかするんだろう。恨む力も残っていない。
俺知らね、と意識を失った。

prev / next

[back]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -