日常編 | ナノ
2

「あぁ……何でこんな事に」

「ツナよ、こんな言葉を知っているか。『人生とはかくも辛いものなのか、いやそんな筈はない、パフェさえ食えれば幸せである』」

「…………今つくった?」

「おう」

二人で皿洗いをする途中の会話。ツナが洗う係で俺が濯ぐ係だ。双子だから流石に息が合う。

「それより本当にごめん……山本まで巻き込んで」

「いーって!どーせウチの手伝いだからさ」

山本がやわりと笑う。こいつの笑顔は本当に他人を安心させる力がある。
ツナが釣られて笑顔を見せた所で、声がした。

「お前にばっか良い恰好させねーぜ!十代目、俺も手伝います!」

「獄寺君!!」

どこから嗅ぎ付けたのか、獄寺が山本を睨み付けながら現れた。

「リボーンさんから聞きましたよ、山本ん家のアコギな商売に騙されたって」

「ち、違うって」

「人聞きのわりーこと言うんじゃねー!」

山本が苦笑いする。
その様子を鼻で飛ばしてから、獄寺はツナへずいと近寄ると、にっこりと笑った。

「とにかく十代目、皿洗いは俺がやります!」

若干強引にツナからスポンジを奪い取ると、獄寺は手を流しに突っ込んだ。

――ガシャン、と陶器の割れる音。

そして血の気の引く音。

「は、はははちょっと手が滑りました」

苦笑いしつつも再び手を勢い良く突っ込む獄寺(バカ)。案の定皿が粉々に砕け散った。

「あれっ」

「何やってんのー!?」

坊っちゃんらしく家事ができないのか、単に不器用なのか。何にせよ獄寺は使い物にならないらしい。
ははははははっ馬鹿め!!益々ツナへの印象悪くしてやんの――

「………」

「あれ、銀?」

「ん?どーしたんだ?」

「…………それ、その手に持ってるやつって、」

「獄寺がやった」

ありがとう獄寺。来てくれて。









「獄寺が」壊した皿は三万らしい。

「ま、全く獄寺はしょうがないなー!!邪魔だからそこで見てなさいっ」

「んだと銀時!!」

「獄寺君っ、俺からもお願い!じっとしてて!」

「そ……そうですか」

ツナに言われ、しょぼんと項垂れる獄寺に罪悪感が生まれる事も無く、そこからは黙々と皿洗いが続いた。何事も無ければ平和なものである。

「こっちはあと少しで終わるよ」

一仕事終えた、というツナの声に機敏に反応したわんころが、鳴き声を上げた。

「ファイトッス、十代目!」

もっちゃもっちゃ。
嫌な予感。

――ぐぴゃぴゃ!これはランボさんのだもんね!!

――あ、ざっけんなテメェトロは俺んだ!!

「…………」

「……銀、」

「おう。せーのっ」

ツナと俺で同時に振り向き、違和感の正体を突き止めた。暇になった獄寺とランボで寿司を食い散らかしていたのだ。

ツナの瞳が、キラーンと光った。

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