3
目を薄く開くと青い空がいっぱいに広がっていた。
いつの間に屋上に来たのだろうか。
段々意識が覚醒してきて、唸り声を上げる。
そうして漸く俺の顔を覗き込む存在に気付いた。
「銀!大丈夫!?」
返事の代わりに起き上がるとツナはほっと息を吐いた。
「良かった……、リボーンがお腹を圧迫したせいで意識を飛ばしたんだって」
「ケッ、弱っちい奴」
「まーまー、俺達だって雲雀にやられた訳だし!」
馬鹿にした風に言う獄寺を諌める山本。
獄寺なんぞに何言われても構わないがな。
「つか、何で俺まで連れて逃げた訳?」
「雲雀を更にイラつかせる為だぞ」
不可解な言葉に首を傾げるとリボーンは自らの思惑を話し出した。
「ツナ達が平和ボケしない為の実践トレーニングの意味合いもあったが、雲雀にこっちの存在を意識させる目的もあったんだ。そんな時、銀が雲雀の『お気に入り』だと知ったからな。利用させて貰った」
「つまり?」
「銀を拐って嫉妬させよう大作戦、だ」
俺にしか聞こえないように耳打ちされる。
「……ざっけんなよ」
獄寺はまだしもツナとか山本とか、俺まで巻き込みやがって。
もう、マジでやだ。
相当な渋面だったのか、ツナが心配そうにこちらを気にしている。
その横ではリボーンが不敵に笑う。
俺と違い要領が悪くて他人に甘いこいつの将来が本気で心配になった。
prev / next