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「死ぬ気でハルを救う!!」
反動で川に落ちたツナが吠える。
その足に何かが当たったのが見えた。
「追加だ。踵を撃てばスクリュー弾だ」
リボーンが言った通り、ツナの足は不自然に回り始めた。足首がバキバキに折れていないといいが。
その不自然な速さであっという間に距離を縮めると、ツナは叫んだ。
「俺に掴まれー!!」
そんなセリフを吐きながらハルを掬いあげるとこれまたあっという間に陸まで泳ぎきった。
ツナの額から炎が消えていく。水に浸けても消えないのに、役目を果たすと自然に消えるらしい。
獄寺と俺、それにリボーンは橋の下に向かう。
びしょ濡れになった二人は心なしか震えているような。
「ツナー、かっこよかったぞー」
棒読みで言ってやるとツナが慌て出す。
わたわたと否定している時にハルが死ぬ気のツナの口真似をしたりで更に顔がタコのように真っ赤になる。数分前まで決闘しようとしていた奴らとは思えない程に微笑ましい。
ハルはフフっと笑った。
「凄くステキでしたよ!リボーンちゃんの代わりに飛び込んでくれた十・代・目!」
あー。
どうやらハルはツナに惚れたらしい。
所で何故、あんなにマフィアを遊びだと思っていたのに今日になってそれを認めるようになったのだろうか?
不思議に思い訊いてみるとハルはああ、と声を上げた。
「ビューティフルな女の人と話した時に聞いたんです。リボーンちゃんは最高の殺し屋だーって」
「俺の話は信じなかった癖に!?」
「つか遮ってたよな」
ビューティフル……美人なリボーンを知ってる女って、またマフィアか?
何とまあ知り合いの多いこって。美人とは羨ましい限りだ。
「ところで、ツナさんと銀さんが双子だなんて、びっくりですよ!お二人は全く違う雰囲気なのに!」
「あー、良く言われる」
「将来のお義兄さんになるんですよね。どうか仲良くして下さい!」
思考停止。
いやハルはツナを好きな訳だからもし叶うとしたらまあ俺が義兄になるのだろう。そうだ。
しかしツナは京子にフォーリンラブである。ここで俺がハルにしてやれることは一つ。
「……俺は厳しいぞ、ハル」
「はい!炊事洗濯、結婚したらなんでもやります!」
「……姑か」
リボーンの飽きれた声が珍しく誰に聞こえることもなく空気に溶けていった。
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