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「試験は簡単だ。とにかく攻撃をかわせ」
言いながら二丁の拳銃を取り出すリボーン。
まずは、と五本のナイフを山本へ投げつけた。
拳銃使わねーのかよ。
「あんな至近距離でよく避けたなー」
「銀!何を暢気に……おいリボーン、本気で山本を殺す気かよ!?」
ツナは本気で焦っている。
いいじゃねーか、本人は楽しそうだし。
獄寺なんか黒い笑みを浮かべてるぞ。今にも誰か殺しそうな。誰かというのは言わずもがなである。
そうツナに言うと、絶望的な表情で俺から一歩遠ざかった。
心外だ。
「ツナ。ボスとして手本を見せてやれ」
「はぁ!?」
リボーンの魔の手がとうとうツナに向かったので、俺はほんの少しリボーンと距離を置く。
獄寺には睨まれたが俺はあんなんやりたくねーし。
「そいつぁーいい、どっちが試験に受かるか競争だな。さあ逃げろ!」
「そんな、ちょっと待ったぁー!!」
叫ぶツナそっちのけで山本は走り出す。
ツナも泣きながら山本を追い始めた。
「銀、」
「何故お前は事あるごとに俺まで巻き込もうとするんだ。やらねぇよ。」
「……チッ」
凶悪なオーラを放つリボーンは置いておいて。
それにしても、山本すげぇなー。
この試験は最早運動神経だけの問題ではない域に達している。なのに山本はまだ余裕そうだ。
才能もあるだろうが、よっぽど普段鍛えてるんだろう。
「しかし最近のおもちゃってリアルなー。あのナイフ、本物にしか見えなかったぜ」
「おもちゃだと思ってたのー!?」
……うん、頭の方も鍛える必要があるな。相当キツく。
漸くリボーンは納得したのか、
「次の武器はボウガンだ」
言ってから宣言通りボウガンを構え先回りする。相変わらず俊敏かつ傍若無人な赤ん坊だ。
だが、その時それは放たれる事は無かった。
「ガハハハハ!リボーン見っけ!」
間抜けな高笑いで現れたのはいつかの牛柄の子供。
「オレっちはボヴィーノファミリーのランボだよ!五歳なのに中学校に来ちゃったランボだよ!」
必死に自己紹介するランボはしかしツナを慌てさせ獄寺を更に不機嫌にするだけだった。
リボーンは何事も無かったかのように再びボウガンを構えた。
何だかこの二人の傍にいるのが嫌になってくる。
という訳で更に少し後退る。
ランボは暫く涙を堪えていたが、ふと思い出したように騒いだかと思うとミサイルランチャーを取り出した。
更にリボーンに促され獄寺までが加わる始末。
あぁっ、ランボが大人に……。
もう実況すんのも面倒くさい程のカオス地帯。
関わっていないのは俺だけなのだが、良くこんな近くにいるのに一切の干渉無しでいられたなと自身に感心する。スルースキル万歳。
三人は山本とツナに向けて一斉に武器を構える。
学校の壁的な意味でも山本達の命的な意味でも流石にこれはやばい気が――。
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