日常編 | ナノ
1

リボーンが来てからすっかり中学生としての生活リズムに(強制的に)正された俺は今日も双子の弟であるツナと仲睦まじく登校した。
眠いとか、リボーンの前では言う暇もねぇからな。

談笑したり二人同時に欠伸が出たのを笑い合ったりしていると、通常通りに満面の笑みの山本が近づいてきた。

「よおツナ、銀時」

「山本!おはよ!」

「よお、山本」

自殺未遂したばっかだってのに元気なもんだ。
山本がツナの肩に腕を回すのを、日傘の柄をくるくるさせながら眺めていると、どこからか殺気が伝わってくる。
隠す気も無い程ストレートなそれは、しかし別段俺が気に掛ける必要は無いだろう。目には目を、殺気には死ぬ気だ。つまりツナ、なんとかしなさい。
ということで。

俺知ーらね。

殺気なんぞを出せる人間と対峙するのは限りなく面倒なので、俺は傘で三人を隠すような位置に移動した。







「っつー訳で、獄寺を納得させる為にも山本の『入ファミリー試験』をすることにしたんだ」

いやいや、どういう訳だよ。

何故かいるリボーンに連れられ、俺達二人はプールに来ていた。当のリボーンは浮き輪でプカプカと浮いている。
あ、何か食ってやがる。
俺は一応日傘を差してるんだが水から光が反射してるし、あまり意味が無い気がする。ぶっちゃけ病院での話はあまり真剣に聞いていないので何がダメなのか分からない。……心配になってきた。
よし、日焼け止めを塗ろう。

ツナは山本をファミリーに入れるのを渋っているらしくリボーンへと抗議しているが、こいつ、既に獄寺に山本を呼びに行かせたらしい。
根回し早ぇなオイ。


ツナは獄寺を止める為に走り出したが、もう遅いと思うんだが。

果たして獄寺は山本を校舎裏へ連れて来ていた。

「十代目!」

獄寺はツナの姿を発見すると両手を後ろへ回し挙動不審な態度をとる。
隠してるつもりかもしんねーがそのはみ出てる物騒なモンは何だ、爆発する的なアレか?

山本はというと、連れて来られた意味を分かっていないのかきょとんとしている。

「なに、そいつお前らの弟?」

振り返るといつの間にいたのやらリボーンが立っていた。
というかツナに綱をくくりつけてスケボーで引っ張られて来たようだ。体が小さいからこそ成せる技である。

「ちゃおっス。
弟じゃねーぞ。俺はマフィア、ボンゴレファミリーの殺し屋リボーンだ」

うっわ直球……。

しかし流石山本。未だにごっこ遊びと勘違いして「そっか、そりゃ失礼した」なんて笑っている。
このままだとツナが説得しても遊びだからと止めないだろう。そしたらそのままなし崩しに本物のマフィア昇格、てか?

ツナは止めたいらしいが、俺は別に構わない。
山本といるのは何だかんだ楽だし、こいつ訓練すれば相当強くなるぞ。
多分。

「ファミリーの十代目ボスはツナなんだ」

「っほー、そりゃまたグッドな人選だな」

ツナはどこが!?なんて言い出しそうな顔をする。止めさせたいなら言えばいいのに。

「銀時もファミリーなのか?」

「いや、俺は――」

「そうだぞ」

否定しようとしたのだがリボーンにあっさり遮られる。山本に変な誤解を与えたらしく、俺を「意外と面倒見いいんだな」と生暖かい目で見てくるのが悲しい。

「んじゃ、俺も入れてくれよ、そのボンゴレファミリーってのに」

爽やかな笑顔で言うこいつなら遊びじゃないと分かってても入りそうだな、馬鹿な方の意味で。


「試験に合格しなくちゃファミリーには入れねーからな。ちなみに不合格は死を意味する」

「ハハッ、マジでお前面白いなー!気に入ったぜ」

リボーンの本気の言葉に山本は朗らかに笑う。
リボーンの頭を撫でるなんて、正に天然の為せる技だ。

……嫌がらないのな、リボーン。

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