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部屋いっぱいに爆発音が響く。
ツナの奴がまた答えを間違えたらしい。
ツナの悲鳴がジャンプを読む俺にはちょっとばかり耳障りで、顔を雑誌で隠しつつリボーンに抗議した。
「その音もうちょい何とかなんねぇの?うるさい」
ツナと相部屋って時点でこうなる事は予想出来たが、出てくにしてもリビングとかだと集中できねぇし。
何より面倒だ。娯楽の為に下まで歩くという労力を使うのも、そもそも立ち上がるのも嫌だ。
「勉強してるんだ、しょーがねーだろ」
「どこに答えを間違える度爆発を起こす家庭教師がいるんだよ!」
リボーンの言葉にツナが叫んだ。
ツナの言ってる事は正しいのだが、リボーン自体が常識からかけ離れた存在だからその抗議は無意味だと思う。
ほら見ろ、ツナごときの存在なんざケツの穴程も気にしてない奴がツナの目の前にいるじゃねぇか。
「ここにいるぞ。これが俺のやり方だ」
言い切った。何だこいつ赤ん坊の癖に男前だな。普通ならまだ用足しの度に母ちゃんにケツの穴見られててもおかしくない年齢なのに。
ツナは顔をしかめたまま溜め息を吐いた。
「小遣いアップの為にテスト勉強、頑張るって言ってたじゃねーか」
「小遣いが上がる前に俺が昇天しちまうよ!」
やってらんない、とツナは大きく伸びをして外を見やった。
俺はどうでも良くなり欠伸を一つするとジャンプを顔に乗せ目を閉じる。
嗅ぎ慣れた独特の紙とインクの匂いに意識を闇に沈めようとしたのだが、リボーンが話し掛けてきた為それは叶わなかった。
「おめーもやるか?銀」
「ざっけんなよオイ。俺はそこまで頭悪くねーの。誰が態々そんな危険な勉強するか」
コッチの危険なら大歓迎だがな。
ついさっき読んでいた作品にそんなシーンがあったのを思い出しながらジャンプを取って小指を立てると、リボーンはやれやれと首を振った。
「マセガキが」
自分の年齢を考えてみろ。俺より遥かにスレた奴がいるだろうが。
「まあ銀なら……平気か。
おいツナ、お前は今のおさらいをするぞ」
矛先が俺から逸れた所で再び目を瞑るがまたもや、今度はツナに遮られた。
「ちょ、おいリボーン!あれ!」
「ちょ、うるせぇんだよ眠らせてくれよ。銀さん今すっげー眠いんだわ。どれくらい眠いかっていうと……
すっげー眠いんだわ」
「そんな事言ってる場合じゃ無いって!」
心底かったるくそれでもツナの人差し指の進行方向に視線を辿らせると――。
「死ね、リボーン!」
牛がいた。
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