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「でもびっくり!この前会った可愛い男の子がツナ君達の弟だったなんて」
漸く拘束を解かれたツナに京子が言った。
リボーンを可愛いと称すあたり、本性は知らないらしい。……本性を知らず赤ん坊だと思っているのなら、一人で出歩いて、尚且つ子供の好みになり得ないようなものを買おうとしているところに疑問は抱かないのだろうか。
あれか、天然の為せる技。束縛されたツナを見ても驚かなかったところからも彼女が少しずれていると分かる。可愛いから全て許されるが。
「弟ではないんだが、確かにこの確率は凄いな」
ツナにとって少女漫画みたいなもんだな。
うんうんと俺が感心しているとリボーンが家庭教師、と言いかけ、ツナが慌てて口を塞いだ。
「従兄弟!従兄弟なんだ!!」
「あ、そうなんだ〜。仲いいんだね。私、従兄弟とは殆ど会えないから羨ましーな」
にっこりと笑う京子にツナの鼻の下が伸びる。
あ〜あ、あんなでれでれしちゃって。
それをリボーンは眺めているかと思うと、
「俺に触るな」
ツナの胸ぐらを締め上げた。
相当な力が掛かっているらしくツナは泡を吹いて苦しんでいる。
リボーンのバイオレンスは女の前でも通常運転らしい。
「あはは!迫真の演技!!」
赤ん坊にはそんなに力が無いと思っているのか京子は勘違いしているようで、楽しそうに笑顔を見せている。
……勘違いじゃないならかなり悪女だな。
しかしやっぱり真っ白な笑顔が眩しい彼女はツナに微笑んだ。
「そういや、最近のツナ君には驚かされっぱなしだな」
ツナは首を傾げた。
「何――」
が、と訊くのを遮り、扉を叩く音がする。
戸を開けにこにこと入ってきたのは母さんだった。
いつも以上に嬉しそうな顔だ。経験上、何かしでかしそうな。
「ようこそいらっしゃい!ツナと銀時の母でございます」
「同じクラスの笹川京子です。お邪魔してます」
京子が笑いかけるとキラキラした笑顔になり、床に三つ指をついた。
「大変でしょ?こんなダメ息子が『彼氏』だと」
空気がピシリと凍った。
「ゆっくりしてってくださいね。オジャマ虫は退散するわ」
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