日常編 | ナノ
1

二段ベッドの下段から呟きが聞こえる。

「リボーンがいないとだらだらできていいよなぁ」

俺もそう思うさ。こんなに寝てられるのも久しぶりだ、前は日常茶飯事だったのに。
また一眠りしようかと目を閉じたが、下から唐突に起き上がる気配がして、気になり眠れない。

上半身のみを起こし下を覗いてみると、ツナは布団という楽園から脱し何やら考え込んでいる様子だった。

「何してんだ?」

「いや……そういやリボーンの荷物ってこれだけだったなーと」

これ、と指差されたのはアタッシュケース。

「大量に武器でも入ってんしゃねーの?」

「そうなの!?」

いや知らねぇよ。
そう返すとツナはがっくり項垂れた。
しかしどうしても気になるらしい、遂には開けようと金具に手を伸ばした。

ガシャンッ

「うわ!?」

音を立てながらアタッシュケースから出てきた拘束具がツナの手首に嵌まった。
そのままアタッシュケースに張り付けられる。ツナの考えを見越してリボーンの考え付きそうな罠だ。

「何やってんだよ。プレイか?束縛放置プレイか?」

「違うから!!」

ツナが何とか外そうとじたばたしている。無論助ける気は無い。どうせ害は無いだろうし、必死な姿を上から眺めるのは良い気分だ。
と、部屋の扉が開いた。

「何やってんだ、ツナ」

「リボーン!!止めて、助けて!!」

ツナが泣き叫ぶ。しかしリボーンが答える前にまた扉から人が入って来る。

「こんにちは」

その、ムサい男共より高い声は紛れもなく女子の声!!
瞬時に服装を整えベッドから飛び降りると声の主の目の前に着地した。

「あれ、最近学校に通うようになったツナ君の…?」

「そうそう、その通り!君はあれだね、クラスの――……ああ、うん。ごめん、」

「変わり身早ー!?」

女子に反応はしたものの彼女の名前が出てこない。今の俺は殴られて然るべきだ。名前さえ知っていればかっこいい登場シーンだったのに……。
それにしても、なんだか俺の好みかもしれない。笑顔で天気を予報してくれたら最高だ。
一応、ツナがお世話になってますと言っておくと同じく敬語で返してくれる。しかも嬉しそう。俺名前忘れてたのに。すっげーいい子だ。

「私の事は京子でいいよ」

と言われたので遠慮なく呼ぶ事にする。

「そ、それより、何で京子ちゃん達が家に?」

吃りながらツナが訊けば、京子がリボーンに金を貸し、それを返す為に寄って貰ったとの事だ。赤ん坊が保護者無しに出歩くなよ。何故誰も通報しない。

つかこいつがツナの話に良く出てくる京子ちゃんだったのか。

「……フッ」

「(いきなり何!?)」

双子の好みは似るのか。やっぱり。

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