3
山本とツナが落ちていく。
俺だって、ずっと一緒にいたかった。
最期まで、たとえこの首が落ちるとしても、同じ場所で、同じように。
それが、他でもないあの人に阻まれただけで――。
――――?
屋上から辛うじて足場になる段差を飛びつつ地面に降りる。
死ぬ気、になったツナにより助けられた山本はいつもの笑顔を取り戻していた。
ツナと話していたが此方に気付くと二人、俺の方へ歩いてきた。
「銀時、ごめんな。勝手なことして」
「……別に?」
ふい、とそっぽを向くと山本は苦笑した。
「というか、銀時はどっから出てきたんだ?さっきは屋上にいたのに」
「ああ、飛び降りた」
「えぇーー!?」
俺の嘘っぱちなセリフに驚いたのは山本でなくツナだった。
大丈夫なの!?と自分の方がよっぽど無茶した癖に俺の心配をしていた。
山本の方は、それで納得したらしい。別に飛び降りても平気だから俺を止める為にあんなこと言ったんだな!なんて嬉しそうに安心したように言っていた。
――昨日も今日も、自分の身体能力なんか忘れていた。
山本を助ける為じゃない。
ただ、『誰か』の顔が脳を掠めただけ。それだけなのに、死にたいという欲求で頭が一杯になった。
古い緑の教本を持ち『俺達』に微笑む人。
優しい人。俺を縛る約束をした人。
だれか。
その人の傍に、俺は行きたかったのだ。
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