家康と三成と政宗が恋人。
ワシには恋人がいる。
整った顔立ちを強調するようなアンバランスな白い眼帯で右目を覆う美しい恋人が。
「政宗、今度の休日ワシとどこかに出掛けないか?」
「…まだわかんねぇ」
机に頬杖をついて器用に片手で携帯を弄る政宗は、最近付き合い始めたワシの恋人だ。
大事そうに政宗に握られた携帯にはメール作成の画面が開かれている。
宛先は石田三成。タイトルは無題。本文には、
「お前…ワシが誘っているまえで三成を誘うのかぁ?」
「An?」
本文には『今度の休みデートしようぜ』の文字。
簡潔だが内容が分かりやすすぎるその一文は、ワシの心を複雑にさせた。
「別にいーだろ。俺は三成を愛してんだよ」
「おまえっ…さすがのワシでも傷付くぞぉ!?」
恋人が白昼堂々と浮気発言。普通ならば離別ものだろうが、ワシらは違う。
何故なら、ワシらの関係は他よりも歪なのだ。
ワシは、三成を愛する感情も含め政宗を愛している。三成も、ワシを愛する政宗を愛しているのだ。
そして政宗は、そんな自分を愛する二人の馬鹿な男を愛している。
ワシと三成に毎日のように迫られ、最初のころは戸惑っていた政宗だが、結局自分を愛してくれる二人のどちらかを選ぶことはできずに、二人共を愛してしまったのだ。
政宗の考えにより、晴れて恋人同士となったワシと政宗、三成と政宗は、今のところ幸せな三角関係が出来上がっている。
しかしながら、被虐嗜好気味のくせに女王様気質な政宗のお気に入りはクールなのに感情が面にでやすい三成らしいので、基本ワシよりも三成を優先させるので少し悲しい。
「んだよ…jealousyか?可愛いやつだなァ」
まぁ、うなだれるワシの額にちゅ、と音をたてて口付けをして頬を撫でてくれるぐらいはワシのことを愛してくれているらしいので、とりあえずは幸せだ。