高校生幸村×サンタ見習い政宗




朝、俺は寝苦しさに眼を覚ました。

今日は12月24日、クリスマスだ。
街には綺麗なイルミネーションに飾られたツリーや店頭。住宅街にもこの季節にしか見られない光がある。
そんな非日常の風景に胸が高鳴るもののも、自分はもうクリスマスなんて歳じゃない。ケーキにツリーにサンタに騒ぐ歳はもう終わったのだ。

真田幸村、高校生二年生の所謂青春真っ盛り。
しかしながら恋人はいない。
周りの人間が続々と可愛らしい恋人をつくりクリスマスの予定をたてるなか、俺はまるでおいてけぼりを食らうかのように恋愛事に関してはすっからかんだった。
小学生のとき、遠足で女子と手を繋がなければならなくて、繋いだ瞬間記憶をとばし卒倒。
中学のときには水泳の授業で、隣りのプールできゃっきゃきゃっきゃやってた女子を見て鼻血を噴射。
そして高校生。
自ら進んで男子校に進学した俺はまったく女子と関わりを持っていない。
このまま独り身で青春終えるかもしれないよ。そう言ったのは確か、幼馴染みの猿飛佐助だ。
お館様という偉大な方のご意向で同じ家に住み、なにかと駄目な俺の世話をしてくれるよく出来た友人だ。
そんな佐助は、昨日の夜から一人暮らしをしている恋人の家へ泊まりに行っている。(佐助も俺と同じ高校へ進学後、そこで出会った赤髪の方とよろしくやっている)


そんな恋愛とは無関係無頓着な俺は、今、ベタなギャルゲーのような状況に陥っている。ギャルゲーやったことないけど。



「んぅ……?」



今年新調したばかりのふかふかの毛布の上(俺の上でもある。)に、一人の青年が熟睡していた。



「んん……さむぃ…」

「………。」



しばらく放心状態で固まっていると、その青年が身動ぎ、寒かったのか俺の首に巻き付いて来た。



「ぬ、ぁ」

「ん?」



俺が発した小さな呻き声に反応したのか、切れ長で長い睫毛に縁取られた左目がゆっくりと開かれ、視線がかち合う。



「アンタ……」



ゆっくりと動かされた柔らかそうで淡く色付いた唇に、俺は。



「破廉恥でござるううぅぅぅ!!」

「うわっ!?」



数年ぶりの鼻血を噴射してしまった。





ただただサンタコスした政宗様は可愛いということを推して参りたかったんです。





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