朝から盛大に鼻血を噴射してしまった俺に、青年はいっきに覚醒し急いで部屋の角の棚においてあったティッシュを用意してくれた。
その後、だらだらと流れる鼻血を拭いてくれたり声をかけたりしてくれたが、その身体の近さに第二次鼻血が近付いたので部屋の角に避難していただいた。



「アンタ…ほんと大丈夫か?」

「大丈夫でござる……申し訳ない、」



処理をしながら横目でチラリと青年を見る。今直視すると今度こそ第二次がきそうだったからだ。

鷲色の少し外にはねた髪に雪のように白い肌、切れ長の左目は長い睫毛で縁取られていて、右目は白の眼帯で覆われている。唇はふにふに柔らかそうで、スッキリした顎のライン。
大きめの赤いパーカーの裾や袖、フードには白いもこもこがついている。
パーカーの下にはグレーのタートルネックのようなものを着ているようだが、下にズボンのようなものは見えずに、生足にグレーのタイツをはいているようだ。
長めのパーカーから伸びる白い太股にピッチリとしたタイツが食い込んで、素敵すぎる絶対領域が出来上がっている。
総合的なことを一言で言うと、美しすぎる。



「むはっ!」

「ッ、おい、」



第二次、きちゃいました。
仮にも今の俺の鼻血の対象は男子だ。いくら美しいといっても男だ。たぶん自分よりも年上の。
今まで男子相手に鼻血をだしたことはなかった。高校生になり男子校というむさ苦しい環境下になってからは部活等で怪我をすることはあれど、流血とは無縁だったのだ。
それなのに、俺は今、サンタのコスプレをした不法家宅侵入の青年に色香を感じている。



「…なァ、」



ようやく鼻血が止まりかけたところに青年の声がかかる。声まで美しいとは何事だ。



「っはい、何でござろう?」



慌ててそちらを向く俺に対し、少し俯きながら上目でこちらの様子を伺う。
何か言うのを戸惑っているようにも見えたので首を傾げて笑ってみたら、おずおずと口を開いた。



「そっち……行ってもいい?」



いいともー!!と、あまりの可愛さにお昼の定番番組の観客ばりに声をはって両手を広げてやりたくなった。



「あああもももちろんでござる!ささっ、どうぞ!」



もちろんそんなことはせずに、正座をし姿勢をただしぐちゃぐちゃになった毛布を下に落し場所をとる。すると一瞬戸惑ったものの、ベッドに乗り上げ俺のまえに正座をした。



「……?」

「…………。」



しかしどうだろう。
正座をすることによっておりたたまれた足に、タイツが深くくいこんで、それはもうむちむちで、しかもパーカーの裾が少しまくれてけっこう際どいところまで見えてしまっている。
白くて、むちむちで、なんというかとても、おいしそう、だ。



「ぬぅっ!?」

「うああまたかよ!」



本日三度目の噴射。
嗚呼親愛なるお館様へ、某、出血多量で死ぬかもしれません。