小説 | ナノ


「みいいいいいいつるぎいいいいいいいいい!!」



やかましい叫び声がしたと思ったら、壊す気なのかというぐらいの勢いで執務室のドアを開いた。そこには成歩堂がいた。今だけでいいからメイがいて欲しいものだ。それくらい暑苦しい。間髪容れずに私の目の前までズカズカと歩いてきた。



「待ってたのに…」
「は?」
「今日何日だと思ってるんだよ!!」
「………3月21日か?」
「そうだよ!!バレンタインもホワイトデーも待ってたのに!」
「ム…そういうことか」



だいたい何が言いたいか分かってきた。おそらく、



「なんで何もくれないんだよ!!」
「すまない…仕事が忙しかったんだ」
「僕だって、仕事忙しいと思ったから送ったんじゃないか……ケーキ」
「なかなか美味かったぞ」
「うっ、それは凄い嬉しいんだけど…多分頬にクリームつけながら食べただろう御剣を見たかっ「クリームをつけながら食べてなどいない!!!」



私が訂正した後も、くどくどと文句を途切れなく続けていく。私の肩をもち絶望したかのような面持ちで、呆れるほど喋る。



「すまなかった成歩堂。謝る、だから黙ってくれ煩い迷惑だ静かにしろ」
「御剣…」
「ま、まあ私も用意してないかった訳ではないのだ。つまらないものだが…」
「これは…お茶菓子?」
「ケーキを貰ったからな」
「本当につまらない物だな…」



「いらないなら持って帰らなくていい」、と言うと、成歩堂は口を尖らせて、「御剣がせっかくくれたんだから貰う」。半ば自棄になって言った。例えいらないモノでもいつもの成歩堂であれば、貰ったということだけで嬉しがるのだが。今日はとても残念そうにしている。



「お堅い御剣だとしても、私がプレゼントぐらい期待してたのに…」
「………」
「それかないなら御剣を貰おうと…」
「帰れ」




(当分貴様からの連絡は無視する)(機嫌直してくれよ御剣…)(早く帰れ!!)


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