小説 | ナノ


学校に七不思議が存在するようにこの病院にもいくつかの噂がある。だいたいは幽霊が出るだとかそんなレベルで、信憑性も低いし、みんなも怖がっても本気で信じちゃいないと思う。時々一部の人は信じてるみたいだけど…。



「だから、そんなのただの噂だろ?」
「いやぁ、ですけどー」
「早く部屋に戻った方がいいよ、ばれたら俺まで怒られるし」
「嫌ですよ真っ暗だし!!」
「君もう中学生でしょ」
「怖いものは怖いんだから仕方ないじゃないですか」



にこにこしながら太陽くんは言った。太陽くんはその噂の幽霊が怖いと言って俺のベッドに入っている。どうやって病室から出て来たんだか…。君は怒られ慣れてるからって随分適当なこと言ってるけど、俺は怒られたくなんてないんだよ。



「って言うか僕、優一さんがいれば怖くないですし。優一さんと一緒にいたいですし!」
「……いや、あのね君さ」
「はい?」
「やっぱり戻ってくれないかな…」
「嫌です」



笑顔でギュッと抱き着いてくる。かわいいな、なにこの小動物…。頭を撫でると、ぐりぐりと胸に押し付けて甘えてくる。髪の毛が少し顔に当たって痛いから…ちょっと控えて欲しいんだけど。この状態の太陽くんを返すのはなんか勿体ない…。



「しょうがない…」
「!!」
「今日はもう諦める」
「それじゃ…」
「ただし、今日だけだよ?俺だって何回も怒られたくないし」
「………」
「いいね?」
「……は、いいえ」
「はいでしょ!!」
「はい…。それなら今日の朝までの時間大事にしなきゃ」





(怒られないなら毎日でも一緒に寝てあげるのにね。)


back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -