席替えのはなし












ガタンガタン





「う、うそ」





「また隣だね。宜しくみょうじ」





嘘でしょ!固まった私をよそにそいつは机をくっつけてニコニコしてる。中3に入って3回目の席替え、なのにまた幸村と席がとなりだ





「ねえ仕組んでる?」





「なにが」





「だから、席替えのカード仕組んでる?」





「そんなわけないだろ」





幸村が綺麗な顔歪めて不機嫌になる。だって、だってさ、どんな席になったって必ず幸村の隣になるんだもん!これ仕組んでるとしか思えないよ!





「失礼なやつだな。じゃあ賭けようか」





「賭ける?」





「次の席替えで、席が隣になるかどうかだよ。隣になれば俺の勝ちだしもちろん手出しもしない。負けた方は勝った方の言うことなんでも聞く」





「な、なんでも…?、」





なんでもってもし私が勝ったら幸村に肩もみさせたりパシったりできんのか、?いやそんなことしたら次の日確実に殺されそうだけど!


うろたえる私に幸村は「おまえもだからね」ってひじついてそっぽ向いた。いや、ていうか何でそんな怒ってんだ?とりあえず、





なんかとんでもないことになったかも




















そして次の席替えの日


自分の引いた番号の所に机を移動して、隣を待った





ガタンガタン





「あ、ゆきむ」





「こんにちは、みょうじさん」





「あれ…?幸村じゃない」





隣に机をくっつけたのは学級委員の鈴木くん。なんだろう、この強烈な違和感は





「今回みょうじさんと隣になれて嬉しいよ。これから隣同士よろしくね」





「よろしく…」





なんでだろう、幸村が隣にいないことがすごく変だ。なんていうかさびしい





「みょうじさん?」





寂しいよ、





「ゆき、むら…」





「は、おまえどこにいるの?言っとくけどもう1つ後ろだよ」





「え、!」





声に振り向けばあきれた顔した幸村が、


ガタンガタン、机を動かしてやつの隣に移動する。うんやっぱりこうだよ、落ち着いた、ってあれ





「ま、また隣…!」





「ふふ、賭けも俺の勝ちだね」





あぁあぁああ!そうだった、忘れてた、!綺麗に笑う幸村に賭けの存在を思い出す。どうしようどうしよう何言われるかな





「みょうじ」





「あーあーあー聞こえないいい!」





「いいから聞いてよ」





両手で耳塞いで目をつぶってたら幸村に手首引っ張られて耳から手が外れる。掴まれたところが熱くて目がそらせない。幸村にしては珍しい強引さに思わず見つめた





「俺さ、本当に隣になると思わなかったんだよね」





「う、うん」





「ここまできたら運命だと諦めてさ、俺と付き合ってよ」





「え」





「文句ないだろ?」





なんだこれ、告白?なんで私が幸村のことすきだって自信満々に考えてるんだよ、…そりゃすきだけどさ


仕方ないからそっぽ向いて頷いてやったら幸村の小さく笑う声が聞こえた







席替えのはなし


それはほんの小さなきっかけ








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