「ねーねーたいちょ」
「なんや?」
「なんでたいちょは、そんなにえっちいの?」
え、俺なんかしたか?
とか一瞬ドキリとしてしまったが、こんな幼児体型の餓鬼くさい部下に手を出した記憶はないため内心ほっとため息をつく。
舌足らずな口調は作戦なのか、それとも素なのか。
俺の羽織りをくいくい引っ張りながら、奴はまた口を開いた。
「ねーねーたいちょ」
「お前…、何を理由に言ってんねん」
「だってそれ」
まっすぐに指差した先は、俺の胸元。
「これがどないしたんや」
「なんでそんなガバッてしてんの?」
「……そんな開いとるか?」
俺が開いとるゆうんやったら、拳西とかどうなんねん。あいつは開いとるっちゅうか、閉めてへんで。
「そない開いとるか?」
「うん」
「そうかぁ?」
「うん、だって」
だって、なんていいながら、奴はその細い指先を俺の鎖骨に滑らせた。
「だって、鎖骨が見えちゃってるよ」
それとも見せてんの?
なんて不適に笑うお前は絶対に確信犯だった。
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