”もしも”があったら。
そんなの、何回願ったと思ってんの?
言いたいことなら山ほどあるはずなのにさ、いま、この状況に対して、情けないことに、私の身体は反応できてないみたい。あれれ、瞬発力には自信があったつもりだったのにな。だって、あなたがいっつも猫みたいだ、とか言うから、ああそうなんだって。たとえ、それが性格とかいろんなもんを詰め込んでいたとしても嬉しかったよ。
嬉しかった。
嬉しかった。
嬉しかった。
だって、あなたが私を初めて抱きしめてくれた時の言葉だったんだもん。
あったかくて、あったかくてさあ。こんなあなたにとっては、つまらないようなことばっかり覚えている私って、気持ち悪いかなあ。でもね、いま考え直すと忘れたことの方が多いんだよ。だって、だって、だってさ。
数えきれないくらいのたくさんの思い出を作ってきたんだもん。
いちいち覚えてらんないよ。そんだけ私はあなたを愛していたし、あなたは私を愛してくれた。愛して、愛してくれたんだよ。自惚れて、いいでしょ?私、信じてるんだよ?
情けないとか、可哀相とか、まあ同情されるような言葉はいっぱい貰ってきたんだよ。でも、私は馬鹿みたいに強がっちゃって、全然平気!なんてさ。毎日涙でびしょ濡れの枕を頭に敷いて、ろくに眠らない日々を過ごしてる奴の何が平気なんだって、ねえ?
それでも私は信じてた。
信じて信じて、強くなったんだよ。一つ一つ、確証を噛み締めては、私はまた一つ、あなたに恋をしていったのよ。
ああ、そう。
忘れた日が、あったかしら?
毎日毎日、恋した私は幸せだった。
幸せだった。
幸せにして貰った。
幸せ、幸せ、幸せ。
過去形で終わらせたりしないでよ
「終わらせたりせんで」
だって、だって……
「言うたやん、俺」
知らない、知らないもん
「俺、約束は守る男やで」
だからずっと信じてたんじゃん!
「そら堪忍や、すまんのう」
謝らないで、いやだよ
「そないなこと言わんたってや」
だって、あなたが悲しいこと言うからでしょ!?
「悲しいこと」
私を突き放していく
「そないなこと、せえへんわ」
また、あなたを愛したい
「過去形なん?」
今から現在形でいくよ
「ほうか、せやったら」
ただいま
おかえり…
もしも、あなたが、また私に逢いに来てくれるならば、
もしも、もしも、
また、私を愛してくれるならば。
全力でまたあなたに恋をしよう。
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尸魂界に残した人と
全てが終わりまた巡り会えた平子さん
"if"が叶った話
100821
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