02


普段は犬だけど、夜は狼です。
なんつってー、とまあかなり激しくシてしまったせいで俺のベッドでダウンしているりりちゃんをよそに、俺はかーなーり満足して学校に来てた。
とりあえず午前だけ学校出て、昼になったら部屋に戻ってりりちゃんといっぱいいちゃいちゃしよーっと思いながら。


「おい、久輝!今日はりりはいないのか?」
「うげー、最悪ー」
「なんだその顔!」

お昼のとき、りりちゃんの大好物のチョココロネをコンビニで買って部屋に戻ろうとしたとき、運悪く転校生に遭遇ー。
うわあまじなんでこの道通ったんだろ俺とりあえず転校生死ね。

「なに、今日はおひとり様〜?」
「ああっ!久輝に会いたくて!!」

うげえ意味わかんねえ。
りりちゃんに言われたらすぐイっちゃうような言葉も、転校生に言われたら吐き気しかわかない。

「おれっ…!りりよりも久輝のこと大切にする…っ!!りりの久輝に対する扱い…ひでえよ…っ!!」
「…はあ?」

呆れてる俺を置いて、勝手に悲劇のヒロインごっこみたいなことをし出してるし。
転校生は電波?わらえなぁい。

「…久輝っ!!」

棒立ちの俺に何を思ったか、廊下の真ん中で抱きついてくる転校生。
まわりだって人がいるのに、なにを考えてるのかさっぱりわかんねえ。
……あー、もううぜえ。

「……なあ」
「…ひさ、き…?」

抱きついてくる転校生の体を少し離し、俺から身を屈めて転校生の顔に近づく。
唇が触れな程度の距離を置いて、頬を撫でる。

「…っ!」

そこで何を勘違いしたのか、目をつぶる転校生。
それに内心は鼻で笑うけれど、まだそれはしない。
ゆっくり唇を近づけて、そのまま耳元に寄せる。予期せぬ位置に行ったのか、転校生がきょとんとしているのがわかった。




ばーか。




「名前も知らない男とキスなんてできませぇん」


つか勝手に盛り上がってんじゃねえよ、死ね。
あと俺のりりを馬鹿にすんな、消えろ。


呆然とする転校生に、とびきりの笑顔を零してウインクを投げかける。
まわりにいた生徒は俺と転校生がキスしたと思ってんのかきゃあきゃあ騒いでるけど、よく見てよ。ああやって真っ青な顔でへたり込んでるヤツ見て、キスしたとか思うわけ?
あーあ、ほんとばかばっかでやんなるね。


転校生のことなんてどうでもいいから、俺はさっさと後ろを一度も振り向かず部屋に戻った。

りりちゃんが勘違いしてるのも知らずに。





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