01
生徒会が仕事をしなくなった。それはもう、隠しきれない事実。
というか僕が隠してなかった。
学園の恥?知らないよ。仲間を助ける?なんで僕だけが仕事しなきゃいけないの。
それで生徒会がリコールされても別にいいよ。
だって僕は
「風紀にほんとは入りたかったし」
「おい副会長」
ずずずーと僕お気に入りの風紀の副委員長、さぶちゃんが入れてくれた紅茶を音をすする。僕の本音と行儀の悪さに風紀委員長の景吾(けいご)が呆れた声で僕を呼ぶ。それにむっとする。
「役職名で呼ばないでよ」
「…美都(みと)」
「なあに景吾」
「…はあ」
自分が今期にやらなきゃいけない仕事は全部終わらせた。
次々と増えるほかのメンバーの書類。期限が迫ってるのはなけなしの良心でやってあげた。なのにあいつら、転校生をのんきに生徒会室に連れてきてお菓子とか紅茶とか、僕が頼んだときはなんもやってくれなかったのに用意して…!しかも転校生には仕事しろって怒鳴られるし。食べかす巻き散らかすなばか。
その言葉にブチ切れて、風紀室に入り浸るようになった。
「あー副委員長になりたいなぁー。さぶちゃん譲ってよー」
「えっ」
「あー聞くな弓弦(ゆづる)」
「けちんぼ」
ぷぅと可愛いと評判のお顔ですねてみたけど、景吾にはそんな色仕掛けきかなかった。もー誰が抱きたい、抱かれたいランキングで生徒会メンバーを構成するとか言い出したの?抱きたい1位は副会長、抱かれたい1位は会長とかやめてよばか。
「お前戻らなくていいのか」
「えー?だって終わらせなきゃいけない仕事は全部やったよー」
「えっ、はや…」
「ふふー、褒めてさぶちゃーん。それで僕を風紀に入れてー」
僕、嫌なことは先に終わらせたいタイプなんだよね。そういうとみんな納得したようにうなずいてた。
「最近なにか問題おこってるー?」
「…ランキング2位の子が男に目覚めたっていう噂が流れて、今襲われまくってる」
「あららー大変」
あの子無自覚だったのに。
可愛がってる後輩の顔を思い出してふふ、と笑いを零す。
まあ本気で泣いて嫌がってるなら助けるけど、どうせ傍にずっといたあいつがもう食べちゃったでしょ。
「リコールとかはー?」
「まだ本会議に回せるほど活発化してない」
「ちぇーっ」
あーあ、僕が風紀に入れる日はいつ来るんだろう。
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