純情R ver
「ゆーい」
「な、なんですかっ」
「ありがとーな」
「……え」
今日は今年度の生徒会最後の日。―――会長に、お礼を言われた。
いつもいつも変態行為ばかりしてきて唯を困らせる永知だけど、唯が生徒会に入ったのは、永知会長に憧れていたということもあって。昔からの憧れの先輩に、お礼を言われた。
そう思うと、こみあげてくるものを我慢することができなかった。
「ひくっ、えぐっ」
「なんだもう、泣くなよ。別に誰も卒業しねえし、また来年度もおんなじメンバーでやってけるだろ?」
「えぐ、ひく、っ」
「な…?」
優しくそう言いながら唯を抱きしめ、頭をぽんぽんと撫でてくれる永知。そのぬくもりと一定のリズムに安心しながらも、唯はぐずぐずと鼻をすすりながら永知の胸に体を預けた。
「……かわいいな、ほんと」
泣き疲れて眠ってしまった唯に思う存分キスをすると、永知は軽やかな足取りでおひめさまだっこをしながら唯を自室に運んだ。
次の朝、濃厚なキスで起こされるなんて未来、今の唯は知る由もなかった。
おわり
おひめさまを頂戴 ver
「真白」
「はい?」
「…その、いつもサンキューな」
「……え」
しどろもどろに紡がれる響汰からのありがとうに、目を丸くして驚く真白。それに気づきながらも、さりげなく片手で口元を覆いながら更に言葉を続ける響汰。
「あー、親衛隊の仕事もそうだけど、ま、…いつもいろいろな、うまいお菓子とか作ってきてくれるから…」
「そ、それは僕が、」
「…?」
「僕が勝手に、響汰センパイにあげたいからって、勝手に作ってるだけだから……」
「……っ」
もじもじとそう言った真白に、真っ赤になる椿。
「もーほんとヘタレなんだから…せっかく僕がアドバイスしたのに…」
「な」
それを物陰からこっそりと伺う来栖と呉哉。
観察するのに夢中な来栖は、いつの間にか呉哉が後ろから来栖を抱きしめていることにも気づかない。それに気づいた呉哉は、チャンスだと思いぎゅうと抱きしめる力を強くした。
「あ、来栖」
「なに?」
「いつもありがとーな」
ちゅううう。
首筋に思い切り吸い付いた。
「〜〜〜〜〜!?!?!」
「顔真っ赤じゃねえか」
あいつらにも負けてねえぞ。
そう言って意地悪く笑う呉哉の鼻に、思い切り仕返しとばかりに噛みつく来栖がいた。
おわり
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