カレシが出来た。
まさかの年下。あたし自身がさばさばしてるから、年下とかどーよって思ったけど、あたしの想像の遥か斜め上を行く存在だった。
どこらへんがって?
それは――――
「アヤコ先輩、また妄想してんすか?見られたらやべえ顔してましたよ」
「……んのガキ……」
「1学年下なだけじゃないですか」
あたしが今高校2年生だから、こいつは高校1年生。
あたしの方がセンパイだっつってんのに、なにこいつのあたしを見事に敬ってない感じ。
いらいらしながらも、お昼ご飯を中庭で食べてると、男二人の話声が聞こえた。
男二人=ホモとかなんか思ってないけど別に。ただ何があるか分からないじゃない人生って!
「…っておま―――」
「―――ここならいい―――」
ちょっと待ってちょっと待って。
よく聞いたらこの声、王様と王子の声じゃん!
中学のときからずっと観察してた二人だもの。聞き間違えるわけない。
王様もやーっと本気出したみたいだし、あ、そういえば君くんも本気モードだし。
あーんもう楽しすぎるーリア充−。
そんなわけで、生意気な年下なんてほっといて、あたしはそっちに集中。
ご飯は無意識のうちに規則正しく口に運んでたみたい。
やば!抵抗してる王子!やー無理やりとかよくないわよ。まったく。そういうのは2次元だけにしなさいよねまったく。
…まあ、とか言いつつすぐには助けないけど。
大丈夫、王様は理性はすぐ切れるけど、外とか不衛生なとこでやるよーな男じゃないし。女相手にはどーでもよかったみたいだけど、王子は別。3年も片思いしてる、ガチ本命だし。
ほら、やっぱり王子が抵抗したら、しぶしぶながらも離れた。
ふふん、やっぱりね。
いつものことながらそっちに熱中してるあたしは、カレシのことなんておざなり。
まあ、なんも文句言わないし、冷めてる子なんだわきっと。
付き合って1ヶ月もたってないけど、そこらへんはちゃんとわかってる。
「アヤコ先輩、」
「……」
「……アヤコ」
「おいこら待て」
呼び捨てとか、ほんと生意気だなこの野郎。
かちーんってきたから振り向くと。
ぶすーっとむくれながら、
「なんでそっちばっか見るの」
………やだ、お姉さんちょっときゅんっときちゃったわ。
思わず抱きしめたら、悪態つけながらもちゃんと抱きしめ返してくれる、耳元の赤い年下カレシがあたしはすき。
おわり
こんな男いたら間違いなく襲われてる。
ひつの世界では。
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