もしもが付き合っていたら...



茜と付き合っていながらも、浮気ばっかりして泣かせていた、天敵。
だけどあのとき、涙を流して謝った新を見て、僕の胸の底のどこかが、あたたかく灯った。
チームに乗り込んで文句を言って、真摯に謝った態度とか。
そのあとしゃべってて、すごい話が合うことが分かって。

「…新、僕たちさあ」
「…俺から先に言わせろ」
「…なに?」

付き合おう。

茜は漆原とラブラブだし。
ちょっと罪悪感はあるけど、茜に新のことが好きになったって言ったときは、祝福してくれた。本当にいい子。

「浮気したらぶっ殺すよ」
「…分かってる」
「信用できないなあ」
「…おい」

半年、他の人にも、もちろん僕にも触らなかったら、信用してあげる。

「禁欲に耐えれるかな?」
「…任せろ」

お前を、失望させたくねえから。





「という夢を見ましたー!!!」
「ぎゃははは!!!おま、それ俺のキャラじゃねえし!!」

今日も隼くんの目を盗んでたまり場に来ていた。ハロウィンの日には会えなかったから、とだいぶ日にちを遅れてお菓子をいっぱい持ってくると、チームのみんながお菓子だー!と手放しで喜んでた。
喧嘩とかいっぱいするのに、こういうとこはかわいいね。
そこで新に、今日見た夢の話をすると、二人で大爆笑。

「ねーよ!!!葵と付き合うとか!!」
「あはは!僕も!!」

けらけらと笑い転げる僕と最初は一緒に笑っていた新が、だんだん顔色が悪くなっていっている。
やばいなあ。どこかで見たことがある、この感じ。
僕の後ろを、じっと見ている新。いつの間にかしーんと静まり帰る場内。
あー、これは、やばいね。

「…葵、後ろ…」
「……うん」

振り向かなきゃだめだよね?
当たり前だろ!
アイコンタクトで会話をすると、意を決して振り向いた。
そこには、

「葵、トリックオア、トリートだなァ」

にこり。
ブリザードをまとった隼くんが、僕を見下ろしていた。

「いや、えへへ、お、お菓子はあるんだよ」

僕は冷汗をかきながらも、準備はしてあると「待ってて」と先手を切ったけど。


「さーて、帰るか」

ねえ、隼くん。
僕のお菓子、どこやったの。

あと、そのポッキーで、なにするつもり。
今日はベッド汚れるなーって、え?…え?


おわり


寒くなると下ネタがどんどん卑猥になる。




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