「メグくん、よくわかんないからもう一回説明してくれる?」 「えっと、「だから!オレが多恵を一人にっ!」……はあ」 これにはさすがにおれもイラつく。 「君、なんでここに来たのかな」 今度はおれじゃなく転校生を真っ直ぐ見て質問する悠平さん。それに心なしか頬を赤く染めた転校生。…嫌な予感がー。 「だって、放送でオレのこと呼んだじゃんっ!」 「「え」」 これにはおれも悠平さんも目を丸くする。 「君のこと?呼んでないよ…僕はメグくんって」 「メグってオレのことじゃん!」 この子話通じないよーしょぼん、みたいな目でこっち見るな! おれも何が何だかわかんないと思っていたけど、ふと唐突に思い出す。 「…きみってさ、名前なんだっけ」 「おい、多恵!君なんて他人行儀やめろよー!田中恵だから、メグって呼んでくれよ!!」 「「だからかーーーーー!!!!」」 興味がなさすぎて忘れてたけど、そういえば転校生、名前メグミだ…! そりゃ確かに、自分のこと呼んでると思うよな。 「あーそうか…。ごめん、僕のメグは、多恵のことなんだよね」 ちょっときゅんときてしまった。 「だから君のことじゃなくて、多恵のことなんだ。悪かったね、ややこしくしてしまって」 珍しく理事長モードの悠平さんが謝る。だけど転校生は、立ち去ろうともせず、悠平さんにさらに近づく。 「なんだよそれっ!じゃあ、オレのこと好きなのも嘘なのかよっ!」 「え…」 「!?」 ぎゅうと勢いよく悠平さんに抱きつく転校生の勢いによろめき、まるで押し倒されているような形に二人もつれる。それを目の前で見るおれ。 「……痛い」 心がちくんとした。 ← | top | → ×
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