そんなことを考えていると、また例の軽快な音が鳴る。 「メグくん、至急理事長室に」 一言そう言うと、放送は切れてしまう。 「今日は結構簡潔だなあ」 久しぶりの悠平さんからの呼び出しに、ちょっと高まった胸は無視する。 だけどそこで大きく反応し奇声をあげたのは、おれじゃなかった。 「悠平、こんな堂々と呼ぶんじゃねえよ…!」 そう言って照れたように大声を出すのは、おれの隣にいた転校生だった。 それにはおれも生徒も、通りすがりのホスト教師もびっくり。 「え、え、」 「オレ悠平のとこ行かなきゃいけねえや!でも多恵が一人になるし…しょうがねえな、一緒に行くか!」 「えっ」 暴走した嵐は止まり方を知らない。 制止する間もなくおれは理事長室に連れて行かれた。 「メグっ!!」 心配する多数のクラスメイトの声が、遠くから聞こえた。 「おい、悠平、あけろよー!来たぞ!」 「ちょ、田中…!」 「おい!!」 ドンドンドンドン、力加減なんて知らない勢いでドアを連打する。格闘ゲームじゃないんだから、おい! 「うるさい!!!!」 バーーーーン!!! 内開きのドアが急に開いて、勢いで中にもつれ倒れるおれと転校生。 おれは転校生を下敷きにして理事長室に倒れた。 「メグくん!!大丈夫かい!?」 「あ、う、「大丈夫じゃねえよっ!」」 うん、と言おうとした声にかぶせるように転校生が文句を言う。 「はやくどけよ多恵!」 「え、すまん」 背中からどくと、勢いよく起き上がる転校生。 「いってえー!」 「え、なんで君はここにいるの」 「なんか「多恵を一人にしちゃかわいそうだと思ってさー!!」…」 ことごとくおれの発言をつぶしてくる転校生。これってもはやわざとなんだろうか。 ← | top | → ×
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