03



そんなことを考えていると、また例の軽快な音が鳴る。

「メグくん、至急理事長室に」

一言そう言うと、放送は切れてしまう。

「今日は結構簡潔だなあ」

久しぶりの悠平さんからの呼び出しに、ちょっと高まった胸は無視する。
だけどそこで大きく反応し奇声をあげたのは、おれじゃなかった。

「悠平、こんな堂々と呼ぶんじゃねえよ…!」

そう言って照れたように大声を出すのは、おれの隣にいた転校生だった。
それにはおれも生徒も、通りすがりのホスト教師もびっくり。

「え、え、」
「オレ悠平のとこ行かなきゃいけねえや!でも多恵が一人になるし…しょうがねえな、一緒に行くか!」
「えっ」

暴走した嵐は止まり方を知らない。
制止する間もなくおれは理事長室に連れて行かれた。

「メグっ!!」

心配する多数のクラスメイトの声が、遠くから聞こえた。


「おい、悠平、あけろよー!来たぞ!」
「ちょ、田中…!」
「おい!!」

ドンドンドンドン、力加減なんて知らない勢いでドアを連打する。格闘ゲームじゃないんだから、おい!

「うるさい!!!!」

バーーーーン!!!
内開きのドアが急に開いて、勢いで中にもつれ倒れるおれと転校生。
おれは転校生を下敷きにして理事長室に倒れた。

「メグくん!!大丈夫かい!?」
「あ、う、「大丈夫じゃねえよっ!」」

うん、と言おうとした声にかぶせるように転校生が文句を言う。

「はやくどけよ多恵!」
「え、すまん」

背中からどくと、勢いよく起き上がる転校生。

「いってえー!」
「え、なんで君はここにいるの」
「なんか「多恵を一人にしちゃかわいそうだと思ってさー!!」…」

ことごとくおれの発言をつぶしてくる転校生。これってもはやわざとなんだろうか。


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