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「で、今日はどうしたの…」
「このパズルが完成しなくてさー。どうしても今日中に作りたいんだけどね」
「仕事しろよ!!!」

つっこみながらも、結局昼休みは悠平さんが持ってきた1000ピースのパズル作成で潰れた。

「メグくん」
「ん?」
「いや、何も。また授業終わったらね」
「もう行かないよ!」

あはは、じゃあねと笑っておれを見送る悠平さん呆れながらも、どうせ行っちゃうんだろうなあおれは、と思った。





――――嵐がきた。
とはまさにこのことだと、のちに大半の生徒たちが称した。

「田中恵(たなか・けい)だ!みんな気楽に話しかけていいからなっ!」

国民的アイドルの嵐ではなく、まさしく災害の嵐。
そんな転校生が、季節外れの秋に来た。

「なんだその上から目線はー」
「ね」

転校生の驚きの態度に呆れるクラスメイトたち。
ホスト教師ですらだ。あいつあんななりしてるけど意外と真面目なんだよなー。

「……まあ、よろしくしてやってくれ」
「よろしくな!!!」

げっそりするホスト教師なんて知ったこっちゃないとばかりにハイテンションの転校生。それに引きながらもうなずく。
だけど、嫌な予感はあたるものだ。

「多恵!飯行くぞ!」
「なんでおれ…」
「いくぞ!」

なぜかすっかり気に入られたおれは、転校生に手を引っ張られながら食堂へ連れ回される。力が強いんだよこいつ…おれと同じくらいの身長のくせに。

最近は生徒会の誰かも落としたとか言って、イケメンキラーと称される転校生。
なんだ、生徒会のやつらは頭でもおかしいのか。
クラスメイトに笑い混じりに「理事長も気をつけろよ」と言われたことを思い出す。

(まさかな……)



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