02


「霞ー。響汰は照れてただけだぜー。な、来栖」
「おいっ!呉哉!」

今まで珍しく、ずっと傍観してた変態が助け舟を出した。
ふん。変態に名前呼び捨てされるのはやだけど、ここはのってあげる。

「そーだよ真白ー。ヘタ、じゃなくて会長、照れ屋さんだから」
「…おい東海林(しょうじ)…」
「?そうなんですか?」

じっとなんの穢れのない瞳で、無意識のうちに上目遣いをする真白。真白のこわいとこって、狙ってやってないんだよね。そうそうできないよ、この上級テク。

「……うまかった。また、作ってくれ」
「!は、はい!今度はな―――」
「…今度は、俺だけに」
「―――え」

わー。ふっきれたのかな会長。理性切れるとあーやって素直になるんだ。押し倒さないだけましだね。それだけ真白が大切なんだ。

真っ赤になってる真白。かわいい。

「来栖」
「んう?」

油断してたとこだったから、思わず変な声が出ちゃった。
だけどここで動揺したら敵の思うつぼだし、なるべく平静を装って振り向いた。

「紅茶、うまかったよ」
「…ふーん」
「今度淹れ方教えてくれよ」い、いいけど。いつもみたいに上から目線じゃなくて、お願いだったから、断ろうと思ったのに思わずオッケー出しちゃった。

「言質はとったぜ、来栖。じゃあ今夜、俺の部屋に来てご教授願うぜ」
「…は?…えっ!ちょっと!!」

しまった。
罠に気づいたときは遅かった。

僕の動揺をよそに、変態は上機嫌で鼻歌なんて歌ってるし、真白は鈍感だから気づいてないし、会長は一回目合ったのにざまあみろって目で僕を見て、また逸らしたし!
もう、ばかばか!信じられない!

「い、行かないもん!」
「へー、来栖は言ったことも守れない子なんだー。霞ー、こーゆーのどー思う?」

反論の声を上げた僕に、ショックだとわざとらしい悲しみ方をして真白に訴える。
ずるい!真白に言うなんて!そんなの真白のことだもん。

「来栖、約束は守んなきゃだめだよ?」

ほら!なんもわかってないのにいい子だからそーやってゆうもん!
僕が真白にたしなめられると逆らえないってこと、知ってて変態はそう言ったんだ。

「そうだぞ東海林。約束は守んなきゃなー」

会長まで意地悪な顔してそうやって言ってくる。ばか!ヘタレだったくせに!さっきまでお礼も言えなかったくせに!

「てことで、来栖は貰ってくぞー」
「おー。真白は任せろ」
「えっ」
「あ…」

そこで真っ赤になってるピュアップル!そんなことしてる暇あったら、悪魔に連れ去られようとしてる僕を助けてよ!

「諦めろ、来栖」

もう!ばかばっかり!!


〜悪魔エンド〜







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