「霞ー。響汰は照れてただけだぜー。な、来栖」 「おいっ!呉哉!」 今まで珍しく、ずっと傍観してた変態が助け舟を出した。 ふん。変態に名前呼び捨てされるのはやだけど、ここはのってあげる。 「そーだよ真白ー。ヘタ、じゃなくて会長、照れ屋さんだから」 「…おい東海林(しょうじ)…」 「?そうなんですか?」 じっとなんの穢れのない瞳で、無意識のうちに上目遣いをする真白。真白のこわいとこって、狙ってやってないんだよね。そうそうできないよ、この上級テク。 「……うまかった。また、作ってくれ」 「!は、はい!今度はな―――」 「…今度は、俺だけに」 「―――え」 わー。ふっきれたのかな会長。理性切れるとあーやって素直になるんだ。押し倒さないだけましだね。それだけ真白が大切なんだ。 真っ赤になってる真白。かわいい。 「来栖」 「んう?」 油断してたとこだったから、思わず変な声が出ちゃった。 だけどここで動揺したら敵の思うつぼだし、なるべく平静を装って振り向いた。 「紅茶、うまかったよ」 「…ふーん」 「今度淹れ方教えてくれよ」い、いいけど。いつもみたいに上から目線じゃなくて、お願いだったから、断ろうと思ったのに思わずオッケー出しちゃった。 「言質はとったぜ、来栖。じゃあ今夜、俺の部屋に来てご教授願うぜ」 「…は?…えっ!ちょっと!!」 しまった。 罠に気づいたときは遅かった。 僕の動揺をよそに、変態は上機嫌で鼻歌なんて歌ってるし、真白は鈍感だから気づいてないし、会長は一回目合ったのにざまあみろって目で僕を見て、また逸らしたし! もう、ばかばか!信じられない! 「い、行かないもん!」 「へー、来栖は言ったことも守れない子なんだー。霞ー、こーゆーのどー思う?」 反論の声を上げた僕に、ショックだとわざとらしい悲しみ方をして真白に訴える。 ずるい!真白に言うなんて!そんなの真白のことだもん。 「来栖、約束は守んなきゃだめだよ?」 ほら!なんもわかってないのにいい子だからそーやってゆうもん! 僕が真白にたしなめられると逆らえないってこと、知ってて変態はそう言ったんだ。 「そうだぞ東海林。約束は守んなきゃなー」 会長まで意地悪な顔してそうやって言ってくる。ばか!ヘタレだったくせに!さっきまでお礼も言えなかったくせに! 「てことで、来栖は貰ってくぞー」 「おー。真白は任せろ」 「えっ」 「あ…」 そこで真っ赤になってるピュアップル!そんなことしてる暇あったら、悪魔に連れ去られようとしてる僕を助けてよ! 「諦めろ、来栖」 もう!ばかばっかり!! 〜悪魔エンド〜 ← | top | → ×
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