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もう!いつまで見つめ合ってるの!
ヘタレ会長!鈍感真白!
僕は真白が作ってくれた手作りのクッキーをもひもひとほおばりながら、一向に照れて動きを見せないふたりを見てる。たまにとなりで変態俺様副会長が僕の肩に腕をまわそうとしてるのを払いのける。

じれったいよ!ばか!
せっかく僕が入れた紅茶も冷めちゃうでしょ!
ていうかヘタレ会長が真白にお礼を言うのを渋ってる間に、真白のクッキーはへってくばかりだよ。ふんだ。
となりで変態が「うめえ」って驚いた声出してる。当然でしょ、僕の親友はかわいくて完璧なんだから。
ふふんってどや顔して変態の顔を見たら、僕の淹れた紅茶飲んでた。
ふ、ふんっ。美味しいのは知ってるもん。別に言われなくてもわかってるもん。

「どうしたの来栖。ほっぺまっかだよ?」
「あ、暑いから!」
「?今冬だよー?」
「こ、紅茶が熱いんだよ!真白もヘタレもはやく座って!」
「おいお前俺のこと今ヘタレって言っただろ」

会長の言ってることなんて無視むしー。
となりからすんごい視線感じたけど、それも無視むしー。絶対横は向かないよ。だって絶対にやにやしてるもん。僕、からかうのは好きだけどからかわれるのは嫌いだもん。

僕のことはいいの。今は真白と会長のこと。
お礼ひとつどきどきして言えないなんて、今時小学生でもないよ。
金魚みたいにぱくぱく口をしながら、「あ、あ…」とか言ってる会長にきょとんとする真白。ほんと、ありがとうって言うだけなのに。これじゃあ付き合うなんてまだ先の話だね。あ、でもとなりに自然に座れてる。恥ずかしがるポイントがいまいちわかんないなあー。
まったくもう。

「真白ー」
「ん?」
「クッキーおいしかったよ、ありがとー」
「ほんと?嬉しいー」

ほらほら。
ありがとうって言うだけで、こんなにかわいいスペシャルな笑顔が、自分ひとりに向けられるんだよ。
にやりとしたり顔の僕。くやしそーにしたって無駄だよー。

「真白、……うまかった。ありがとう」
「ほんとですか!響汰センパイ、甘いの嫌いだったらどうしようって思ってました」

だから眉間にしわ寄せてたんだと思って不安でした。
そうほっとしたように笑う真白に、またやっちまったとしょぼーんとする会長。


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