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「遅かったわね」
「姉さん!!」

待ち合わせ時間よりも30分遅刻したおれは、息もたえだえに喫茶店に入る。店員が中に案内する前に、おれは一番奥の席で小説を読んでいた女の人の元に行き、すぐさま謝る。

「姉さん…?」
「あ、ああ。そっか、お前を連れてくる前に姉さん、結婚して実家出ちゃったからな」

話には出るけど、実物を見るのは初めてだったからか目を丸くして驚いている。
特にイケメンじゃないおれとは違い、派手な美人である。似てないって散々言われてきたから、その反応はもう慣れてるぞ。

「……い」
「似てない?それはもう知ってますわ」

ぼそ、とあいつがつぶやいたけど、小さすぎて聞こえなかった。けどまあ多分、今までのやつらと同じような反応をしたんだろ。

「ふふっ」
「なんだよ姉さん」
「なんでもなーい」

おれとこいつのやり取りを見て笑みを零す姉さん。なんだよー。
それから久しぶりに会うということもあって、昔の話や近状など、話は弾みまくった。
「旦那さんのためにご飯作んなきゃ」と、新婚ほやほやのラブラブオーラを振りまいて姉さんがそう切り出して、今日はお開きになった。
ご飯食べてく?て誘われたけど、さすがに空気を読むよおれも。

姉さんはここが最寄駅だから、駅まで送ってもらってさよならをした。




「なあ」
「ん?」

ご飯なににしよう、簡単にできるのがいいな。
電車の中でぽつりとつぶやいたら、ぶっきらぼうにあいつが簡単レシピを調べて教えてくれた。それを元に家に帰って作り、二人で食べる。
テレビを見ながら食べていると、今まで黙っていたあいつが口を開く。

「……俺を捨てる気か」
「?……ああ、あのことか」

さっき言ったことを引きずってるみたいだ。
少ししょんぼりしてるところを見ると反省してるみたいだし。よかったよかった。

「捨てないよ、大丈夫」
「……そうか」
「でも」

ぱあっと顔を明るくするあいつ。でもここで甘やかしたらだめなんだ。
きちんと釘もさしておく。

「おれがちゃんと調べてって言ったことは調べて、電話とかメールとかもちゃんとして。あと女の子にいっぱい話しかけるのやめて」
「………要望多いだろ」
「当然だろ!」



ほんとはもう2年経つ前に機種変して、今はやりのスマホにしようと思ったけど。
おれも離れがたいのは事実だから、それは考え直すことにしよう。


おわり


擬人化じゃねえええええ。
ほんともう。。。これが一番激むずなリクでした…申し訳ないです!!

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