03


「せ、センセ〜〜〜……っ!?!?!」
「誉」
「ほ、誉さ…っ!?!」
「ほら、もっと強く吸わねえと、跡つかねえよ?」

とんとん、とチロがつけた薄い跡が残る首もとを指差す。それに真っ赤になりながら、あわわわと文字通り口をぱくぱくとさせ、何も言葉が出ないチロ。
それに笑みをこぼすと、チロを引き寄せ手際よくちゅうと吸い付く黒崎。いきなりの刺激に思わず喘いだチロにむらっときたけれど、それは次にしよう、と一回抱いたことでだいぶ冷静になった黒崎が微笑む。

「ほら、やってみな?」

教師口調でチロに笑いかける。明らかにからかっている黒崎に、むうとふくれっつらをしながら、首に唇を寄せる。
そして、ちゅううと思い切り吸い付いた。
唇を離すと、きれいに濃くついたキスマーク。それに満足したようにほお、と息を吐く。

「おー、きれいについたな」

姿見に自分の姿を映し、感心したように言葉を漏らす。

「えへへ、上手?」
「ああ、俺のとおんなじくらいの濃さだしな」

そこではた、と気づく。

「誉さ、明日…」
「あ?」
「学校…」
「ああ、それがどうした?」
「首、見えちゃうよ…!!」

今度はそのことで慌てだしたチロに、忙しい奴だなーといとしくて仕方ないという目でチロを見ると

「ああ、ちゃんと隠すから大丈夫」
「ほ、ほんと…?」

その言葉には返事はせず、唇をふさいだ。


「千紘」
「ふ、ぁい…?」

長い長いキスが終わったと同時に、黒崎が口を開く。それに息を乱しながらも返事をすると、

「どこにも行かねえし、離さねえって言っただろ?」

欲しくて欲しくて、ようやく手に入ったんだ。
チロが初めてこの学園に来てから、ずっと長い片思いを続けていた。黒崎は何よりも自分の気持ちを疑われるのが嫌いだ。そう気づいたチロは、ごめんなさいと素直に謝る。

「大体なんで付き合って一日目で、んな不安になるんだ」
「だって…誉さん、慣れてるから……」

その言葉にきょとんとする黒崎。対するチロは俯いて本気でしょげていた。
あまりにも可愛いその言葉に、今度はこみ上げる欲望を制御することはできなかった。

「…あー、もう、お前は……」

ほんとうに、可愛いな。
その言葉と同時に、押し倒した。

チロを傷つけないように、初めてだからこそ、気持ちよくなってほしい。
そう思って今までで一番相手を思い、愛でたことが裏目になったとは。

「というか、俺もハジメテだぞ」
「…え?」
「男を抱くの」

今までは、生粋のノンケだったから。まさか自分が男を好きになって、こうして愛するなんて思いもしていなかった。

「初めて同士、お互い勉強しような」
「――――え…?」
「さて、じゃあ」

イタダキマス。



朝方まで酷使され、立ち上がれなくなったチロとはよそに生き生きと朝の支度を始める黒崎。
もちろん胸元は、チロからの愛の証がよく見えるように、大きく広げて。

(うん、なんて一言も言ってねえからな)

教室に着き、クラスメイトたちからの質問に笑顔で答える黒崎の姿がそこにあった。



おわり


あまあああああああい!!!!!
こんなんでよろしかったでしょうか…!




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