「――――――雲谷」 あの後、木南が向かった先は屋上だった。 慣れた手つきで施錠してあるドアの鍵を開けると、中で不貞腐れたように寝転んでいる雲谷の姿を見つけた。 「……まだ雲谷?」 その言葉に髪をがしがしと掻くと、誰もいないことを確認するように後ろを振り向くと 「―――透」 「……ヒロ」 学園では決して呼ぶことない呼び方で、雲谷を呼ぶ。 寝転びながらぽむぽむ、と自分の横をたたくと、苦笑しながらも木南が近づき、同じように寝転ぶ。 そうするとすぐさまぎゅううと力強く抱きしめられる。 「もーヒロ、そろそろばらしちゃおーよ…」 「嫌だ。絶対面倒なことになるだろ。現に今でも絡まれるんだ、付き合ってることを公にしたらどーなるか…」 ――――雲谷透と木南宏哉は、付き合って2年半経過した今でもお互いを思いあう、相思相愛のカップルであった。 「ヒロがそんなこと言わなかったら、今頃人前でもいちゃいちゃできたのに」 「いいだろ、別に」 誤魔化すようにキスを落とされ、不満そうな顔の雲谷。 「なに透、おれからのキスが不満なわけ?」 「そんなわけねえだろ」 そういうと舌を思い切り入れられる。 「ん…、ぁふ…」 「…ちゅ…」 熱烈なキスをかわしながら、徐々に手を下に下げると、シャツの裾から木南の胸に手を這わせる雲谷。それに気づいた木南がぱちんとその手をはたくと、しぶしぶと出て行った。 「…っは、外は嫌だっていつも言ってんだろ…っ」 「だってさぁ」 「だってじゃねえよ」 肌蹴たシャツを直しぐちぐちと文句を言う木南。 「つか付き合ってんのは隠そうってゆったけど、何も仲悪いフリをしろとは言ってねえぞおれは」 「だってヒロが眼鏡越しに睨む顔、超絶色っぽいんだもん。あれだけで抜ける」 「くそ変態」 2年半たった今でも出る文句に、同じ言い訳をする。 当たり前の日常が、こんなにも幸せ。 「つかお前、なんでさっき先輩殴ろうとしてたんだよ」 「あいつら、ヒロを強姦しようって計画してたから」 「……まじか」 「でももう大丈夫だよ、色々言っといたから」 「…そうか」 うん、と腹筋だけで起き上がる雲谷。 先に立ち上がった雲谷に手を伸ばすと、「女王様だなヒロはやっぱ」と笑顔で手を引かれる。 「……透」 「ん?」 「今日は眼鏡つけてセックスさせてやってもいいぞ」 「まじで!?」 「ああ」 「じゃあその顔にがん「殺すぞ」……はい」 ちっ、と舌打ちをし本気で悔しがる雲谷。それを見て苦笑する木南。 「仕方ねえな、……すぐにイかせてやるよ」 そう女王様たっぷりの態度で、雲谷の要望に許可を出す。 一瞬何を言われたかわからないと目を瞬かせる雲谷だったが、やがて脳にその内容が到達すると、嬉しくてたまらないといったようにまた木南に熱烈なキスをした。 ――――ヒロ以外の奴は、ぜーんぶ駄目だけど。 あのとき、廊下で囁かれた言葉が、まだ熱を持っていた。 ((あー、愛してる)) end なんか雲谷が普通に小学生みたいないじめっこになってしまった。 木南も女王だし…あれれー? 下ネタはさんでいいかわからなかったので、直接的な言葉は自重しました。 ← | top | → ×
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