03


「恵吾、好きな人の名前なんて言うの?」
「…ミサキ」
「へえー僕と一緒の名前の女の子か。なるほど」

これならよくある、名前を言い間違える展開はなさそうだ。僕の前はまっていたゲーム「そんな声だしちゃだめっ!」では、声優をしている彼が役名と相手の名前を緊張して間違えてしまい、主人公に逃げられてしまうシーンがあった。僕は主人公に感情移入してしまうタイプだから、あのときの胸の痛みは今も忘れない。結局はハッピーエンドになったからまあよかったけども…。

「じゃあ、どうぞ!恵吾!」
「………ミサキ」
「ひゃっ」

リビングのソファで話そうとしたら、部屋がいいと言われて恵吾の部屋のベッドの上に向かい合う。密室に連れ込むことができるほど今親密な関係の子なんだ。じゃあ絶対に大丈夫でしょう。
なんて思いながら先を促すと。

い、いい声ーーー!!いつもの眠そうな声じゃない!これは本気で口説きにかかってる声だ。なんていうんだろう、子宮がうずくってやつ?僕はないけど。どきどきどきどき、目が恵吾から離せない。

「ミサキ、好きだ。愛している。出会った時から、お前から目が離せない…俺のものにしていいか…」

ひゃあああああああ。顔が真っ赤になっているのが分かる。熱い、熱いよ…!
どきどきして死んでしまいそうだー。恵吾の本気モードはやばい。男の僕でもどきどきしちゃった。

「ミサキ、返事は」
「あっ」

耳元で囁かれる。耳がぞわぞわ〜とする。いつの間にか距離が近くなって、僕はどさっとベッドに押し倒されていた。
ええええ恵吾いつの間に!告白してそのまましちゃうパターンなんだ…よく姉2人の持っているものでも同じ展開があったなあ。

恵吾のその性急さと、ミサキちゃんとの親密さから考えると、このまま流されるのがベターだと見た。でもちょっと抵抗してみることにする。

「でも恵吾、ぼ、じゃなくてわたし、初めてだし…」
「優しくする。安心して俺に任せろ」
「で、でも…」

うじうじとする僕。僕は清楚でこういうところでもすぐに流されない女の子がタイプなんだ。現実にはそうそういないことはわかっているけど。イケメンにはね弱いよねみんな。

「ミサキ。――愛してる」

きゅうううううううんん!!!
これぞ、耳レイプ………。真っ赤になってあわあわする僕の頬に優しく手を添える。
ここまできたら、しょうがない。僕は抵抗するのをやめて恵吾を見上げる。
あいにくこんな展開経験したことがないので、なんていえばいいのか分からない。昨日やっていたツンデレの女の子が精一杯デレるシーンを参考にして――。


「ミサキを、女の子にして…?」
「――――っ!」

あのゲームの醍醐味は、ツンデレ主人公が最後の最後ででれるところだと評価されている。濡れ場に持っていくときのシチュエーションやセリフやスチルがそこばかり本気を出しているので、製作者は変態だと噂されている。
そんなゲームをやってにまにましている僕も変態の仲間入りだけれども。

ちょっと甘い空気になりすぎてしまった、恥ずかしくなって起き上がろうとする僕の肩を押し付けたのは、恵吾だった。


「え…?」
「美咲」

焦った僕ににこりと笑いながら、恵吾が僕の耳元に唇を寄せる。

「―――女の子に、してあげるね」

そうしてそのまま、僕の太ももをいやらしく撫で上げた。ぞくり、と瞬間走る電撃のような刺激。

「ふぁっ…?!」
「美咲、美咲、好きだよ。愛してる。」
「えっえっ恵吾、違う、僕は男の子だし、え?」
「俺が好きなのは佐倉美咲、お前だよ。男の子なんか関係ないよ。だって」


「男の子にも穴がついてるからね」

ぐっと押し付けられた熱い塊は、僕のおしりに―――

「ら、らめええええええ」





「愛してるよ。美咲。赤ちゃんができるくらい、俺をあげる」



それ、どこのエロゲのセリフですか……!
こういうセリフは、僕じゃなくて、女の子にして?


おわり



なんかむらむらしてるのかなあ最近。そんな作品です。
遅くなってしまってすみません、あと下ネタめっちゃ多くてすみません!!!!



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