「ひでえよ!!」 「なにがひどいだ、大体俺は多恵以外に興味ないのは学園中で知れ渡ってる事実なんだよ!馬鹿か」 「っ!!」 それを聞いて転校生は理事長室を飛び出していく。 嵐のようだった…。 ぐったりしているおれを悠平さんが覗き込む。 「大丈夫?」 「……じゃない、いろんなことがあってキャパオーバーだ…」 「そうか。じゃあ、とどめの一撃でもいこうかな」 「え…」 「多恵のこと愛してるんだけれど。多恵は?」 ゆったりとした低音ボイスが耳元に注がれる。 瞬間、真っ赤になるおれの顔。 「まあ、聞かなくても、ずっと前から分かってたけどね」 「えっ…?」 くすくす笑いながらおれの頬をするりと撫でる、大きな手。 ここまでのスキンシップは今までやられたことがなかったから、戸惑うばかり。 目をきょろきょろ左右に動かしたけど、「ちゃんと見て」と制されてしぶしぶ前を向く。 おれの背丈に合わせて屈んだ悠平さんが、おれを見てにこりと笑う。 「だって俺のことを好きになるように、小学生のころから今までずっと刷り込んでたしね。逃がさないように校内放送で呼んで、多恵が誰のものかみんなに見せつけていたしね」 「中学くらいだと、みんな勘付くようになるでしょう。だから俺は、多恵が中学になるのと合わせて理事長になったんだ」 「はは、驚いてるね、目がまんまるだ」 かわいい、と言われて、ちゅうと柔らかいなにかが目尻に触れる。それはだんだん下に下りて行って 「多恵が起きてる時にするのは、初めてだね」 唇に吐息がかかる距離まで言って、触れた。 おわり そこはかとなく気持ち悪い攻めが出来上がり。 ← | top | → ×
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