02



あのあと会長がいかにも情事後っていう気怠い恰好と雰囲気を出して、仮眠室から出てきた。その頃僕らはひと段落ついてティータイムを楽しんでいるときだった。

「あ、かいちょー」
「……終わ、た?」
「早く出てきてくださいよもうー」

会長の分のお茶はないですからね、そう僕が付け足すと、ギロリと睨まれた。

「な、なんですか?」
「……悠莉、お前さあ……」

会長はなにか言いかけて、またその口を閉じる。
居心地が悪いなあ、なんだか。

「…いいわ、もう」

そういってディスクに戻る会長。
悔しいけど、どんだけさぼってようと優秀だから、仕事も楽々に片づけてしまう。

「今日はどうするんですか?」

どれだけ会長が浮気しても、いつも一緒にご飯を食べていた。
だから僕も当然の流れで、そうだと思ってたんだけど。

「今日は仮眠室にいる奴と食うわ」
「………え?」
「かいちょぉ〜…」
驚いたと同時に、さっきまで聞こえていた喘ぎ声と同じ声が、話を中断させる。
ひょこ、と仮眠室の扉から頭だけを出してこちらをうかがう彼は、僕の親衛隊に所属している平隊員の後輩だった。
可愛いと有名だったけど、紺の方が可愛くて性格もいいから幅広く人気。抱かれたいランキングは、紺と僕より大きく差を開いて3位だった気がする。

「あれ…」

紺が苦い顔をしてその子を見る。
自分の可愛さを鼻にかけて、なにかしら僕と紺をライバル視してくる迷惑な子だった。
颯太も明らかに嫌悪感丸出しの顔でその子を見ていた。
戸惑う僕と紺を無視して、会長がその子を呼ぶ。

「かいちょ…、悠莉センパイが見てるよぉ…」
「――いいって、あんな奴」

そして目の前でその子を膝の上に乗せ、いちゃいちゃしだす会長。
もう僕は何が起こってるのか分からず、呆然とその様子を見ているしかなかった。

「――――悠莉」

そんな僕を現実に戻してくれたのは、颯太の声だった。



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