02
「なに書いたー?」
「お前はー?」
「世界征服」
「うわあ…」
賑やかなSクラスに、チロもにこにこしながら願い事を書いていた。
あとは笹の葉に吊るすだけ、というときに、黒崎がひょいとチロを抱き上げる。
「ふぎゃ…っ!?」
「チロの背じゃ届かねえだろ」
どーせならてっぺんにつけとけ、と笑いながら囁かれる言葉にチロも笑う。
「センセは何書いたの?」
「センセ?」
「う、ほ、誉さん…」
「よし」
ちゅ、と親が子供を褒めるように額に口づける。
それに真っ赤になるチロと、ヒュウヒュウとはやし立てる周り。
「架月なんて書いた?」
「素敵な恋がしたい。チロちゃんたちみたいな!って」
「切実だな」
「昂也は?」
「Sクラス落ちませんように」
「あ、それにすればよかった」
Sクラス最下位争いの井上と架月の会話に呆れながら、町田がチロと黒崎に空気を読みながらも長身を生かし高い位置に自分の短冊を取り付けている外山に気づき話しかける。
「脩治(しゅうじ)は?」
「俺も最近彼女と別れたから、新しい恋かな」
「ふーん。合コンセッティングしてやるよ」
「それは助かる。で、臨(のぞむ)は?」
「お金がほしい」
「欲望に忠実だな」
各自がそれぞれ勝手に盛り上がる。
「チロはなににしたんだ?」
「え、んと、Sクラスのみんなとずっと笑って過ごせますように、って」
「ふーん」
願い事に自分とのことが書かれていないことに少し不満を持つ黒崎。
それに気づかずチロは笑顔で同じ質問をする。
「誉さんは?」
「…チロとずっと一緒にいる」
「えー?」
半ば本気で込められた願いに、チロが笑う。
「わざわざ織姫さまと彦星さまに願わなくても、一緒にいるのに」
最強の爆弾投下をしたことに気づかず、「こんなにいっぱい願いがあって大変だねえ」とのほほんと感想をこぼす。
黒崎が微動だにしなくなったことにSクラスのみんなは当然気づいていた。
「あーあ。チロちゃんったらほんと罪な男だー」
架月はこの後のチロがどうなるかを思い、苦笑した。
「きっと明日は休むだろうからノートとってあげなきゃ」
「な。あ、タイミングよくチャイム鳴ったなー」
「ほら、くろやんダッシュでチロ抱きかかえて部屋戻ったし」
end
久しぶりに書いたチロとくろやん。
思いつきだったんで内容めちゃくちゃで申し訳ない。
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