∴ 3/3 「お前、そんなこと思ってたのか」 ぼろぼろぼろ。声は出ないから、その代りぶんぶんと首を振ってそうだよと示す。 そしたら、ぼこって頭にげんこつ落とされた。 「い、いたっ!」 「ほんとお前は馬鹿すぎ」 いきなしの攻撃に何が起きたかわかんないおれ。涙も止まったよ、びっくりしすぎて。 そしたらぐって両頬を信に外側にひっぱられる。 「い、いひゃい…」 「なに不安になってんのかわかんねーけど、恋愛ってひとりでするもんじゃねえだろ。ひとりで溜め込んで勝手に結論づけんな」 「ひゃ…」 そのあとひっぱられた手がぴって離れて、またぎゅうって今度は頬を押しつぶされる。 ひょっとこみたいにつきだした唇に、ちゅってリップ音。 ひさしぶりのちゅう。 それだけで、ぽわわーって幸せになる。唇から熱がともって、あったかい気持ちが全身にぐるぐる浸透していくような、そんな気分。 「ほら、キス一つだけでこんなとろーっとした目になって。お前、俺以外としてこんな顔になんのか?」 「…にゃらにゃい」 「ったく、こんな風に、さいこーに可愛くて、さいこーにエロくて、俺のこと大好きって顔して」 ――――なのに、勝手に終わらせんな、馬鹿。 そうやって、またつよーくつよく抱きしめてきて。 ようやくほっぺから手離されて、自由に動くようになって。 「信もばかだもん」 「あ?」 「おれのこと不安にさせてばっかだも」 「あー、だからゲームのことは悪かったって。ごめんな」 「それだけじゃないもんね!」 「?」 きょとんとする信のほっぺを、今度はおれがひっぱる。 間抜け、でも可愛い。 「最近、ぎゅーもちゅーもえっちもしてくんなくて、寂しかったもん!!!」 その言葉に最初はきょとんとしてたけど、だんだん意地悪な目でおれを見てきた。 「な、なあに」 「そーかそーか。旭は寂しかったのか、俺が触ってくんなくて」 「そうだよ!」 「ふーん、欲求不満だったのかー。ずっとむらむらしてたんか」 「!?」 にやにやにやと、エロオヤジみたいに笑う信に、自分がなにを言ったかわかって一気にぼんっと顔が熱くなる。 「いいぜ今日は誰もいねーし。下まで響くほど喘いでも」 まっかになって照れて俯いて、動けないおれを見て、けらけら笑う目の前の男。 ばーかばーか。 「さーて、愛を確かめ合いましょーか。欲求不満な旭チャン」 「…欲求不満なのは、信もでしょ!」 「そーね。今夜は寝かせねーぞ」 いい笑顔で言わないでよ、ばか。 次の日久しぶりだったからか、ぐったりとしたおれとは引き換えにすっきり元気な信。 なんでそんな元気なのー。 そんなこと言ったら、またされることは目に見えてるから、おとなしく信がココアを持ってきてくれるのを、ベッドに寝転びながら待ってる。 やっぱり、あいつはよゆうでおれと恋してる。 ―――でもいいや。 だって、おれはあいつが大好きだし、あいつもおれが大好きだから! ね! 「そーね」 おわり 結局は相思相愛の溺愛カップルなんだぜ!攻め>>><<<受けというこのサイトでは珍しいカップル。 ひらがなばっかで読みにくくてすみません。こういう口調の子なんです。 |