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「い、意味がわかんねえんすけど……」
「お前がチーム抜けるっつった時、目の前が真っ暗になった。お前が俺から逃げるんだって。だから、監禁してドロドロに愛して、俺しか見えないようにしようとした」
「は、んざいじゃねえすか…」
「徐々に慣れさせながらするつもりだったんだよ。なのにてめえが女いるみてえなこと言うからだろ」

驚くほどのジャイアニズムなことを言われ、目が点になった。

それから何も言えずまた無言が続くと、見慣れた家が見えてほっと一息つく。
ようやく解放されるとはやる気持ちを抑え、早歩きで家を目指すと、ぐいっと突然力強く潮さんの方に引っ張られた。

「千景」
「な、んすか」
「逃がさねえから、覚悟しろよ」

押し倒されているときよりも、ぞくり、とそれを上回る恐怖を感じた。

「チームも、やめるのはなしだ」
「ちょ、」
「毎日別に喧嘩してるわけじゃねえんだ。3日に2回は溜まり場来るだけでいい」
「ちょ、多いっすよ…」

たまり場来る日の方が圧倒的にちゆといる時間よりも多いじゃねえか。

「てめえ鈍感なのかどっちかにしろよ」「は、はぁ?」

まあいい。
そういってため息を吐いた潮さんの様子に、話は終わったと腕の中から抜け出すとそのまま家に向かい玄関に手をかけた。

「にーに!!にーに帰ってきたー!」
「ただいま、ちゆ」

てとてと、とダッシュでこちらに向かってきたちゆを素早く抱きしめると、きゃっきゃと嬉しそうに腕の中で笑うちゆ。

「おかえりなさいちーちゃん。今日はどうしたの?」
「あー…」

何も知らないちゆと母さんの目の前で、どういう言い訳をしようかと考えていると、横からすっと潮さんが出てきた。

「あー、俺がちょっと引き止めてました」
「…だあれ、ちーちゃんこのイケメン」
「(イケメンって…)俺のチームの総長の、吾妻潮さ――」
「そーちょー??!」

いきなし総長と聞いた瞬間にちゆが叫ぶ。
びっくりしていると、ぎゅうと俺の首元に回した手にさらに力を込めて、

「にーにがお怪我してたのも、ちゆと遊んでくれなかったのも、みんなモーちゃんのせいだ!!」
「ぶっ、モーちゃん…」

うしおだからか?
いつの間にそんな面白いあだながついていたんだ潮さん、と一番最初にちゆの言葉を聞いたときに思った感想だった。
そのあと内容を理解し、その驚きの文句に思わず呆けた。

「ちゆ、モーちゃんきらい!」
「……」
「にーにはちゆのだもん、モーちゃんにはあげないっ!!」

きゅん、としてしまったのは、仕方ないと思う。

「…ちいは俺のだ」
「ちゆのだもん!」

仲がいいわねーとのんきに笑う母さんに呆れながらも、潮さんってこんなキャラだっけ、と今日一日でだいぶ印象が変わったことに笑いを零した。



今日から始まる



(変わり始めた関係と、)


アンケートのコメントを参考にさせていただきましたv
ちゆのとこは気合入れました。


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