∴ 3/3 ぴしり。 目の前の潮さんの顔が固まる。チームを抜けるのには制裁なんてものはなく、潮さんのチームは来るもの拒まず、去る者追わずというモットーがある。 だから俺もこのチームに入ることを決めた。 「あー、じゃあ俺帰ります。今までありがとうございました」 すっかり動かなくなった潮さんの腕から抜け出し、そのまま扉を出る。こつこつと歩いて、ポケットに入っている携帯で時間を確認すると学校が終わって30分ほど経った頃だった。母さんちゃんとメール見たかな、と思っていると、後ろでガアアアン!!とすごい音がした。そのあとボゴオオッと何かが床に落ちる音がして後ろを振り向くと、潮さんが長い脚で扉を蹴飛ばしていた。 (こええええええ!!!!) 「ちい、何言ってんだテメェ………」 当社比5割増しのまがまがしいオーラをまき散らし俺に視線を向けた。ぎろり。まさに蛇に睨まれた蛙状態の俺。その状態で、潮さんはにやりと口を歪ませた。笑った。 「やめるなんて俺が許すわけねえだろ?」 そう言って俺の方に向かって足を進めてくる潮さん。本能でこれは逃げなきゃいけないと分かった俺はとりあえずここから出ようと潮さんに背を向けて走る。 幸い距離があった分、足をもつれさせながらも溜まり場から出ることができた俺は、そのまま後ろを振り向かず全力で走る。潮さんが俺に執着する理由は知らないが、とりあえず俺はやめると言ったのだからこれからはチームに行かなくても大丈夫なはずだ。今まで通りちゆと一緒に遊ぶこともできる。もう不良ではないのだから、クラスでも友達を作って、普通に学校生活を楽しむことができる。 しばらく走り続けて、もう大丈夫だと後ろを向く。潮さんはいなかった。 はあはあと荒い息を吐きながら携帯を見る。メールが一件入っていたので確認すると、母さんから「了解!」と警察が敬礼をする絵文字が一緒に送られてきていて思わず笑う。無茶苦茶必死に走っていたが人間には帰巣本能があるみたいで、いつの間にかちゃんと家の近くの道に辿り着いていた。 しかし潮さんはまじで怖かった。なんだあの笑い方。俺気に入られてたって言われてたけど、実は全く逆な気がする。抜けるの許さねえとか意味わかんねえ。こええ。 「あーもう無理、二度とかかわりたくねえ……」 俺の入っていたチームのトップ2人は、両方とも俺の苦手なタイプだった。ぜってえあんな人たちみたいな奴とちゆは付き合わせねえ。 家に帰るといつものようにちゆに抱きつかれ、今日は疲れていたこともあって絵本を読むこともなく、俺はちゆと風呂に入って出た後すぐに眠りに就いた。 今日こそはちゆを迎えに行こうと、帰る準備をする。と、教室の窓の外からきゃーっ!とまた黄色い声と女子の塊が見えた。嫌な予感がばりばりするので、俺は今日は校門ではなく裏門から出ようと教室を後にした。 今日はちゆと何して遊ぶか…。昨日は読めなかったし今日は絵本をいっぱい読んでやろうかな。公園で遊ぶのもいいけど最近砂場遊びは飽きてきたみたいだし。 そんなことを考えながら裏門を出る。いつの間にか黄色い声は止んでいたので、また羽柴さんが来てると思ったが違ったみたいだ。 ふああ、と思わず大きなあくびをしたので隠そうとしたが、その前にぬっ、と大きな手が俺の口を覆う。 「っ!?」 「捕まえた」 そのまま路地裏に連れ込まれる。 後ろから手と腰に腕がまわっていて、しかも力が強くて抜け出せない。耳元で聞こえた声はよく知っていて、だからこそ逃げたくてたまらない。 「なーに抵抗してんだよ、ちい」 「っぁ!」 離せ、と文句を言おうと口を開いた瞬間、指が突っ込まれる。 「っがっ、はな、っ!」 「昨日は逃げられたし、今日はゆっくり話すか」 めちゃくちゃに咥内を荒らされた後、ゆっくりと指を引き抜くと唾液の糸がつーっと引いた。 そのまま体を無理矢理潮さんの方に向けられると、俺の唾液がついた指をぺろりと舐め、口に含んだ。 「ちょ、潮さ………っ!!」 「あめえな」 その言葉に顔が赤くなる。 「あまくてうめえ」 「…っ!潮さんっ、俺もうチームやめたんですから……っ!!」 「誰がやめていいなんて言った?」 「―――…は?」 「俺は認めてねえけど?」 「な、何言って……っ」 腰にまわされた腕に力が入る。 「ちいは俺のものだから」 そのまま勢いよく口をふさがれた。舌が絡めとられる。 卑猥な音が鳴り響く中、今日もちゆ迎えに行けねえな、と遠くなる意識の中 思った。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 唾液舐めとかに エロスを感じてます。 |