∴ 07

そんな僕に、ふわりと笑いかけるセンパイ。
その笑顔も素敵だー。しまった、逃しちゃった。

「どれがいいですか?と言っても、こんなに写真撮っちゃったから…」
「映くん的にはどれがいいかな?」
「え」
「選んでほしいんだ、君に」

データに入った膨大な写真を二人で見返すと、センパイにそう言われて驚く。

「え、でも、好きな人に選ぶのに…」
「客観的に見てもらった方が、いいかなと思って」
「なるほど…」

それは責任重大だなあ。真剣に吟味しながら、やがて終わりがけに撮った一枚を選んだ。

「多分このとき、センパイの好きな人の話をしていたんですけど。そのときセンパイが僕を見てる顔が、とっても素敵だったので…」

僕から目を逸らさずに受け答えしてくれるセンパイ。カメラ目線ってふつう恥ずかしいのに、やっぱり慣れてるんだなあともう一度おんなじ感想を抱く。

「ありがとう。大切にするよ」
「はい!」

そうしてまたふわりと笑うセンパイ。



何人もの人の写真を撮っていると、だんだん僕も他人事は思えない位親身になって写真を撮っていた。最初の方は、本当にただ適当に撮っていただけだった。素敵な顔だと思ったらシャッターを切っているだけの、受動的な作業。だけど今では、たくさんの人が僕に写真を撮ってと言ってくれる。そこに最近は、責任ものしかかってきた。
だけどそれ以上に、みんなが笑ってくれるのが、とても嬉しかった。



「センパイの恋が叶いますように!」
「……ありがとう」



それは、写真の中の笑顔と同じ、素敵な表情だった。





おわり



前半長かったなー。
普通に青春物を書いてしまった。夏だねえ!

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