∴ 04

「なんかそれからなんですよねー。僕に写真撮ってほしいって、いろんな人が押しかけてきたんです」

なんでも、小原くんは親衛隊長とかいうすごいものに属していたらしく。
そこからのネットワークで僕の写真のおかげで付き合えたという噂を聞きつけた恋する男の子たちがわらわらとやってきた。

「お願いしますっ」
「写真、とってくださいっ」

ちっちゃい子がぺこぺこと頭を下げてやってくるのを断るなんて、僕には到底できなかった。


「でも、好きな人がかぶってたらどうするんだい?」
「あ、なんか、やっぱ彼らって親衛隊なんですよね。好きな人は自分たちのお慕いする人って決まってて、みんなで集合写真を撮ったんですよ。それを渡したいからって。自分たちはこんなにもあなたのこと好きなんですよーって」
「へえ。健気だね」
「そうなんです。そしたら親衛隊のこと馬鹿にしてた人たちが、みんなちょっとずつ意識を変えてくれたらしいですよ」


写真は終始リラックスムードで撮られた。
普段通りでしてねーとか、お慕いしてる人の好きなとこはーとか僕は適当に話をふって、それをきゃいきゃいと喋ってる彼らをただ撮っただけ。


「へえー。でもすごいね、ここまでの表情を引き出すなんて。僕も撮ってよ」
「部長をですか?誰かに写真渡すんですか?」
「まさか。でも僕も君に撮られたいと思っただけだよ」



中庭で写真を撮ることにした。部長を撮るなんて緊張する。

「なんだか今日はぽかぽかしてあったかいですねー」
「うん、そうだね」

最初はリラックスさせるために世間話から始める。
カメラを構えるのは、もう少し後。

「部長、最近生徒会どうなんですか?風紀委員長とは仲直りしましたか?」
「……なんで」
「え、だって部長、委員長好きですよね?」
「っ?!」

あ、真っ赤になった、珍しい。写真撮っちゃお。
カシャリ。


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