∴ 04


すべての種明かし。


会長の貴船巧(きふね・たくみ)と副会長の湯藤淳己(ゆとう・あつき)は、学園の不良分子である転校生を追い出そうと模索していた。
自分たちの城の平穏を脅かすものは、誰たりとも容赦しない。
まずは自分たちに惹きつけて、あとは学園の最強の騎士に処理をしてもらおうとした。
だけどいきなし族がいなくなったところで、国民の一部は不満に思うかもしれない。
だから二人は考えた。

国民と騎士の大事な大事な姫様を犠牲にしようと。



それからはとんとん拍子にことは進んだ。
姫様を虐げる族に、不満は増すばかり。
最終的には騎士に制裁を加えられ、不良分子は姿を消した。


「ちょっと、時昌…っ!」
「我慢できない、恵」


姫様が代わりに危険になったところで、もうそれはなにも問題はない。
だってこの国は平和なままなのだから。
騎士は姫さえ手に入れば、それ以外はなにも望まない、王族にとっては扱いやすいものなのだから。






姫は思案する。
これはどういうことだろうと。
実際の権力者は王様と女王様だということは分かっていたけれど、こんなはずではなかった。
ただ姫は、自分に忠実な僕(しもべ)がほしかっただけなのに。
騎士はただそれだけだった。
僕という下賤な考え方は一緒にいるにつれ変わってきたとしても、それが愛に変わることはなかった。
姫様は王国を出る身なのだから。
違う王国の王子と結ばれるはずだと。そう思っていたのに。



「恵、好きだ、ずっと愛している」
「……とき、まさ」



組み敷かれるときは、せめて、ぼくが上でいたかったよ。




おわり




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